グタール / ル ミュゲ オードトワレ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2017/7/15 13:15:59

夏にフレグランスを楽しむなら、早朝と夕暮れと夜がいい。その時間帯でいえば、アニック・グタールのル・ミュゲは、夏の早朝に気持ちよく使えるフレグランスだと思う。透き通るようなフルーティー・ノートとふんわりした可憐なフローラルを併せもつ香り、それがル・ミュゲだ。

ル・ミュゲは、アニック・グタールが不定期で販売するレ・ソリフローレのうちの1つ。このシリーズは、ひとつの花のイメージから作られた香りで、シンプルなフローラルのシングルノートという意味をもつ。ローズ、ハニーサックル、スズラン、スミレの花が咲く庭園をイメージしたそれぞれの香りは、どれも透明水彩絵の具で描いた絵画のような淡く美しい空気感を漂わせる。その中で、ル・ミュゲは春の花スズランをイメージした香りだ。

スズランは、英語ではリリー・オブ・ザ・バレー、仏語ではミュゲだ。この花をイメージした香りと言えば、まず思い浮かぶのがディオールの名香ディオリッシモ。ただし、これは芸術的抽象とも言うべき香りで、スズランの生花の香りとはかなり異なる雰囲気だ。それに対して、ペンハリガンのリリー・オブ・ザ・バレーなどは、どちらかというと生花の香りの再現を試みているように思う。生花がもつ青臭いグリーンノートとわずかにユリっぽい雰囲気を併せもっているのが特徴だ。

では、アニック・グタールのスズランはどうかというと。

トップは意外にも透明感あふれるフルーティーな出だしで始まる。完熟したリンゴのような甘くさっぱりした香りが心地よい。そしてその下からふわりとやさしげな白いフローラルが控えめに出てくる。最初はそんなにいいと感じなくても、使う度に好きになっていくようなところがアニック・グタールの香りにはある。このトップもそんな感じで、特に女性に好まれそうなオープニング。

やがて5分もすると、透明なヴェールのような果実の香りは薄らぎ、白い花のフローラルが淡く漂ってくるようになる。わずかにユリのテイスト、花粉のような黄色いコクをもった香りで、小さな鈴を並べたような可憐な花に似合う穏やかさだ。さらに、背後にはほんのわずかグリーンなトーンや、それを包むかのようなアンバー系の甘さが感じられる。ベンゾインのようだ。このミドルが、大体3〜4時間ほどゆるやかにたゆたう。

全体に、透明感あふれるスッキリしたフルーティーなトップと、自然な甘さの可愛らしいユリ系ホワイトフローラルのミックスといった印象のオー・ド・トワレ。生花のスズランの青臭さやシャープな部分を抑えたバーチャルスズランといった風情。グリーンな香りが強い花をあえて清楚で愛らしくしているので、とても女性向きのフレグランスに仕上がっている。

使う季節は春〜夏が特によいと思う。スズランじたい、高地などの涼しい気候で育ち、スッキリとした清涼感を感じさせる芳香をもっているので、高温多湿になる日本の夏でも比較的心地よく使えるフローラルだ。ル・ミュゲにはローズの天然香料も使われているようで、おそらくこのへんのお花事情が、レ・ソリフローレの不定期生産及びストックがなくなり次第終了といった販売スタイルと関係があるのかも知れない。

2011年以降、記録では2013年に再発売があったル・ミュゲだが、その後に再びシリーズが販売されたという情報が見つからない。半面、それ以降通常生産されているとの噂も散見されるので、ブルーベル・ジャパンに問い合わせたところ、悲しい知らせが返ってきた。現在、レ・ソリフローレ・シリーズで流通しているのはラ・ヴィオレットとル・シェブルフイユだけとのこと。ただし全店舗品切れ中でこの先どの店舗にどれだけ入荷するかは未定。ル・ミュゲとローズ・スプレンディドはすでに廃盤だという。予想していたが、やはりといった感。つまり、2017年の今、どこのデパートのフレグランスコーナーに行っても、この4種に限ってはすでにお目にかかれない状態ということだ。再発を願うしかないが、これまたいつのことになるやら。

朝の光が東の空を金色に染める頃、昨夜の暑さのなごりが感じられる初夏の森。その蒸散した薄い朝もやが立ちこめる中、高原の涼しさにひっそり咲いた季節外れのスズランに目を留める。小さな白い花が、控えめに下を向いて鈴なりに並んでいる。美しい緑の葉からこぼれ落ちた朝露が一滴、花枝に落ちる。その瞬間、小さな鈴たちは音もなくリリリ…と揺れた。まるで夏の一日の始まりを告げるベルのように。

ル・ミュゲ。それは、幸福を告げる花。

今日もいい一日になるだろう。

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