ルイ・ヴィトン / マティエール ノワール 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2017/4/15 17:28:43

旅に出よう。ルイ・ヴィトンの7つの香りをカバンに詰めて。まだ見ぬ遠くの町へ。そこには見たこともない風景が広がっている。新しい風と光が満ちあふれている。

長らく香水を出していなかった最後の大ブランド、ルイ・ヴィトン。70年ぶりのフレグランス「レ・パルファン・ルイ・ヴィトン」は、2016年9月、満を持して発売された。1946年のオード・ヴォヤージュ以来となる香りのテーマは「旅」。それは旅行用カバンを創り続けてきた同ブランドにとって、永遠のテーマでもある。

話題となったのはそればかりではない。ゲランやシャネル、ディオールの最高級ラインにもひけをとらない贅沢なオードパルファンを一気に7本リリース。このニュースは各種女性用雑誌にも広く紹介され、ふだん香水を使わない方々の注目も集めた。

2013年にヴィトンの専属調香師となったジャック・キャバリエは、「肌の上にも旅を」のテーマのもと、7本同時リリースを決めたのが自分であると語っている。そこには、潤沢な開発資金と香料を背景に、4年もの歳月を調香に費やした彼の自信がうかがえる。目指したのは、女性が選ぶ最高の香り。

マティエール・ノワールは、その6番目の香りの旅。それは、最もミステリアスな黒のマティエール(素材)を用いた香り。

マティエール・ノワールのトップは、上品な革のような、なめらかなスエード調の香りで始まる。色で例えるならベージュ。複雑な香気が絡み合っている印象。やや青いローズとパチュリ、そして、ウッディな香ばしさにわずかな酸味があるウードの香り、この3つが混じりあって、柔らかで上質なレザーのような雰囲気に感じられる。まるで、ヴィトンのキーポルあたりのカバンに旅行用の荷物をパッキングしているかのようだ。旅の始まりを予感させる心躍る香り。

このオープニングには驚いた。なぜなら、ローズやパチュリ、ウードは、通常どれもミドル〜ラストに出てくる香料というイメージが強いからだ。このやや暗くウッディなトップで、「あ、無理」と感じた方も多いかも知れない。だが、ここでNGと見切るのはちょっと早い。せめて20分待ってほしい。なぜなら、

マティエール・ノワールは、付けてから20分もすると、香りが劇的に変化するからだ。そして、そこから現れるのは、ブラック・カラントの甘酸っぱいフルーティーな香り。

ブラック・カラントは、和名クロスグリ。フランス語で「カシス」と言った方が香りや味を容易に想像できる方は多いだろう。マティエール・ノワールのミドルは、このブラック・カラントの甘くて暗いジューシーな香りが強く主張してくるのだ。

ミドルは、カシスのリキュール、クレーム・ド・カシスを思わせる香りがみずみずしく広がる。ベリー種独特の果実風味は強めで、スッキリめのローズも背後には見え隠れするものの、他の香料が判別できないほど感じられる。トップのウッディ香から一転、通常トップで感じられるようなフルーティーな香りがミドルから出てくるというのは、ちょっと不思議な調香だ。それも含めて、ヴィトン広報では、「神秘的な香り」と謳っているのだろうか。ジャック・キャバリエ、一体どんなマジックを使ったのだろう。

そんな馥郁たるカシス&フローラルのミドルが、5〜6時間ほど続く。香り立ちじたいはまろやかだ。付けた場所付近で穏やかに香り続けるオーデパルファンらしい拡散の仕方をする。さすがによい香料を使っているようで、ラストはパチュリの湿った土っぽさが出たり、ウードの苦みや香ばしさにハニーのようなこっくりした蜜の風味が重なったりと、そのときどきで香料の出方が異なる。ときにわずかにヴァニラのようなクリーミーさが漂うときもあるが、最後はお香のスモーキーさを呈して消えていく。ラストの乾いたお香っぽさが全て消えるまでは、付けてから8〜10時間くらいだろう。ロングラスティングの部類だ。

全体的に、これまでの香水のような3段階の変化ではなく、前半20〜30分が革の匂いのようなウッディ、その後ずっとカシスと白いフローラルとウッディの香りが続くといった印象。ウードやカシスの香りがお好きな方にはおすすめの取り合わせだ。使える時期は、夏以外ならどの季節でもいいだろう。どこか透明感があって、スッキリとしていて、ウードを用いた香りとしては使いやすい部類だと思う。時間帯は、午後から夕暮れ、そして夜がいい。旅立ちと共に纏えば、一日の旅を終える頃には、心癒すスイートな香りになっていることだろう。

マティエール・ノワールは、黒を基調とした独特の質感。夕闇が迫る頃、たどりついた旅先の町で、深紫の雲に描く今日一日の甘美な思い出。それは、油絵の具を直接絵筆で塗り重ねたような雲のマティエール(絵肌)。

  • 黒のマティエール(絵肌) by doggyhonzawaさん
  • マティエール・ノワール by doggyhonzawaさん
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