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doggyhonzawaさん
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6購入品

2017/9/16 17:22:56

天才の作品の中で最もすばらしいのは、初期衝動がこれでもかと詰めこまれた若い頃の作品だ。そう思っている。粗削りであったり、人を選んだりするにしても、類まれな情熱がそこにはあるからだ。

もしどこかで運よくグッチ・プールオムのボトルを見つけたら、是非その香りを試してみてほしい。そこには若き日のトム・フォードが求めてやまなかった「男のための香り」が凝縮されている。さながら、彼が現在展開しているプライヴェート・ブレンドのブラックボトルのエッセンスを全て少しずつ混ぜて作ったようなフレグランス。それが、グッチ・プールオムだ。運がよければ、というのは、すでに廃盤になっている香りであることと、保管状態のいいボトルを探しているファンが多いためだ。オークションでもフリマでも、出品されるやいなや売り切れている。

グッチ・プールオムは、2003年にトム・フォードがミシェル・アルメラックに調香を依頼した作品。言わずと知れた名作、グッチ・ラッシュを手掛けた調香師。現在グッチからは、ボトルデザインが同じでゴールドキャップにブルーの液体色のグッチ・プールオム2、そして名前で間違えやすいグッチ・バイ・グッチ・プールオムほか、多くのメンズ・フレグランスが出ているが、この作品は間違いなくそれらを凌駕していると思う。だからグッチは一番の作品を廃盤にしたような気がしてならない。理由は定かではないけれど。

グッチ・プールオムの香りを端的に言うなら、インセンス(お香)が強いウォーム&スパイシー、ウッディ&バルサミックな男の香りだ。これはかなり相手を選ぶ系。40代以上で人生の酸いも甘いも経験した男が、キリッとした身だしなみと共に漂わせるような香り。少なくともJKやOLからオヤジと呼ばれている人には敷居が高い。凛とした気構えをもち、背筋を正している「男」にこそふさわしい香り。当然、苦手な方、嫌いという方が多いだろう。特に女性には。だが好き嫌いは別にして、この調香は本当にすばらしいと思う。

ガッシリした重たいキャップを外してスプレーすると、瞬時にベルガモットのすがすがしい香気。それがペッパー系のピリッとした感じとグリーン様の透明感を連れてくる。そしてすぐ、こんもりとしたアンバーの香りが漂い始める。くぐもった粘り気を感じさせる樹脂系の香り。その後ドライなインセンス香が、アルテミジアやバジルのスッキリした苦みとともに立ち上ってくる。3分たらずのトップ。けれど、たくさんの香料がいいバランスでブレンドされていることがうかがえるオープニング。

やがて香りが落ち着いてミドルになると、スモーキーなお香に、若干のレザーノート、そして深くローストしたようなタバコノートがわずかに混じって、えも言われぬ男っぽい香りになる。割合で言うと、インセンス:レザー:タバコ=6:3:1くらいのイメージ。もちろん日によっても人によってもこの出方は異なり、レザーがやや強めに出ることもある。このミドルは、中東の寺院を思わせるインセンスよりずっとシャープでドライ。清涼感があるマイルドなお香で、日本のお寺の雰囲気や花火から出る煙のような感じに近い。火薬っぽく感じるスパイシーさという人もいるだろう。温かみと涼やかさが同時に香るウッディに、奥からじわじわとスパイシーな煙が出てきて、知らない間にとりこになる。さながら、微笑をたたえた紳士が、眼鏡の奥から時折見せるストイックな知的欲望にふれたかのように。

そんなミドルがとても長く続く。実はこのフレグランス、ちょっと付けただけで、乾いたお香がまる1日穏やかに漂っていることも珍しくない。だから、どこまでミドルでどこからがラストかよくわからない。気が付くと、お香の香りは香ばしい木の香りとわずかに甘いアンバーのミックスになっている。そんな雰囲気。消え入りそうな頃にはクリーミーなヴァニラのような残香も感じられる。

ジョー・マローンのインテンス・シリーズ、トム・フォードのプライベート・ブレンド、そして、スパイスにこだわるセルジュ・ルタンスなどがお好きな方は、比較的気に入るタイプの香りだと思う。気温が低くなって肌寒くなってきたとき、こういう温かくてお香を思わせる香りは、心にとても沁みる。秋〜冬、仕立てのいいツイードのジャケットをさりげなく着こなしているようなミドルエイジの男性に、この乾いた香りはとても似合うだろう。

グッチ・プールオムは、2人の天才のコラボから生まれた傑作。トム・フォードが求めた光と、心の中の闇。それは、白黒三角チェックの格子柄ボックスにも投影されているようで興味深い。

その煙は、女と火の扱いを心得た男の香り。孤独な瞑想を楽しめる男の香り。トム・フォードの初期衝動を結集した、白と黒の煙。

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