インターネットやドラッグストアなどで、気軽に化粧品が買えるこの現代において、アルビオンは『対面販売』にこだわっています。『人から人へ』、アルビオンならではの接客こそ、スキコンが長年愛され続ける大きな理由です。
アルビオンの製品は2018年現在、ネットやセルフ市場での販売を行っておらず、すべて対面で販売されています。その最前線で活躍する『ビューティアドバイザー』の教育を担うのが、人材開発室の室長・金丸陽子さんです。
(アルビオン人材開発室 室長・金丸陽子さん)
「アルビオンの人材教育は“高級品を扱うにふさわしい人間であれ”という理念からスタートしています。創業当時は、販売員がお客様のご自宅に製品をお届けにあがることもあったんですね。そんな折に、恥ずかしくない立ち居振る舞いを身につける“販売員である前に、きちんとした人間であれ”という思いです」(人材開発室 室長 ・金丸陽子さん)
ひと昔前の新人教育は、1ヶ月に及ぶ『合宿』でした。布団の上げ下げや、ふすまの開け閉めなど生活全般の作法を身につけることから始まったわけですが、それ以上に集団生活の中での礼義や人間関係、マナーを身につけたといいます。
「現在期間は短縮しているものの、合宿形式であることは変わりません。特に新人教育の半分は、マナーの時間に費やします」と、金丸さん。おかげで、アルビオンのビューティアドバイザーは、『どこに出しても恥ずかしくない』『お嫁さんにしたいナンバーワン』と言われていたことも。
「マナーや所作は、それぞれ細かなルールが決められています。たとえば立つ姿勢は、かかとをつけてつま先は11時05分に開く。お辞儀をする姿勢は、通常は30度、お詫びをするときは45度以上などですね」(金丸さん)
(白金教育センターでの新人教育風景)
これだけ聞くと『えっ厳しい』と思っちゃいますが、その背景にあるのは「“言葉ではなく動作でお客さまに気持ちをお伝えする”ということです。自分ではきちんとしているつもりでも、相手にどう見えるかはまた別の話。お客さまが快く感じてくださることを第一に考えてください、マナーはそのための行動です、と何度も丁寧に説明します」(金丸さん)
たとえば、化粧水をコットンに含ませる時にジャバジャバ注ぐのはNG。
「ボトルは商品名を上に向け、お客さまに向けて傾けます。コットンは新しいものをお客さまの近くに、使い終わったものは自分のほうに下げるんですね」と、金丸さん。使い終わったコットンは、汚れた面を内側に折り、キレイに並べます。
「ひとつひとつは些細なことですが、根本にあるのは“お客さまのために何ができるか”という気持ちなんです。アルビオンの接客は“気働きの接客”。どうしたら喜んで頂けるかを常に考え、実践していくことに尽きます」(金丸さん)
『相手のために何ができるか』――。これは接客に限らず、社会生活や人間関係を営むうえで、とても大切なこと。人と人との関係において最も重要なことを、アルビオンではマナーを通し、時間をかけて共有していくのです。
(スキコンの教育で使用するマニュアルと店頭用パンフレット)
「学生の頃に肌荒れで悩んでスキコンと出会い、その時の接客に感動して、入社を決意した人もいます。そういう意味では“自分の将来まで決めてしまう製品”なんだな、と感慨深く思います」(金丸さん)
スキコンは、接客の練習にも使われています。2人1組で、1人がお客さま役、もう1人がビューティアドバイザー役となり、パンフレットを使って製品の特徴を説明するそう。
「このロールプレイング、最初はうまくいかないことが多いんです。つっかえたり失敗して、途中で泣き出す新人も。それでもみんな一生懸命で、“この製品の魅力を伝えたい”という気持ちがヒシヒシと伝わってきます。“もう1回やらせてください”って言われると、こちらまで泣けてきます」(金丸さん)
たとえ技術や知識がなくても、その一生懸命さは、「必ずお客さまや先輩に伝わるはず」と、金丸さんは語ります。
もうひとつ、新人にとって難しいことが『自然な笑顔で接客すること』。
「緊張して表情がこわばったり、うまく笑えない…そんな時、笑顔の「エ」と言うことで自然に口角が上がります。大変な時や辛いときは笑顔の「エ」と声を掛け合い笑顔の接客を心がけています。」(金丸さん)
(金丸さんのノートには、年間通して教育のスケジュールがびっしり)
うまくいかなくても、失敗しても、アルビオンのメンバーは、みんなで協力しあうそう。
「新人教育の場は特にそうですね。できない子がいると、同室の子たちがサポートして、夜に練習しているんです。この助け合いの精神には純粋に感動します。新人たちと接することで、私も元気をもらっています」(金丸さん)
アルビオンの人材教育は、『教育』ではなく『共育』という字で表現するそうです。学ぶ側の新人も、教える側のインストラクターも、全員が美容部員であり、美容部員としての原点に戻る…そして、『共に育つ』という意味が込められているとか。
「ひとりの人間として相手に向き合う。目の前のお客さまが何を考え、どんなことを求めていらっしゃるかは、お客さまご本心しか分かりません。だから、まずは“お客さまにお伺いしましょう。そして“それに応えていきましょう”と。これこそがお客さまのことを第1に考えるアルビオンの“気働きの接客”です」(金丸さん)
そんな気働きの接客を、まさにお店の最前線で実践しているのが、伊勢丹新宿店に勤務するビューティアドバイザー大谷昌子さんです。
(アルビオン百貨店部ビューティアドバイザー・大谷昌子さん)
美容部員として7年のキャリアを持つ大谷さん。「店頭にいると製品のことを話したくなってしまうんですが…(笑)。それよりもまず、お客さまのお話しを伺うことを大切にしています。その方が何にお悩みで、どんな肌になりたいのか。普段の生活についても、教えていただきます」(大谷さん)
ときには話しが肌荒れの原因となる、仕事上のお悩みに及ぶことも。その分、しっかりお客さまと向き合うことが必要といいます。
「忙しそうな方はカウンターに立ち寄る時間も限られていますから、何にポイントを絞ってお聴きするか考えます。製品をご紹介するときも“たくさんアイテムを使うのは難しいかな。この製品なら毎日続けていただけるかな”って」(大谷さん)
「その方のお肌や表情を見て、“お手入れをしっかり続けてくださったんだ”って。私も本当に嬉しい気持ちになりました」(大谷さん)
肌荒れしている時は、自分に自信がなくなったり、ストレスを抱えがちなもの。そんな時に、こんな風に親身にカウンセリングをしてもらえたら、本当に嬉しいはず。このお客さまに寄り添う『気働きの接客』が、スキコンのファンを増やしてきた、大きな理由のひとつです。
日本有数のビューティフロアを有する伊勢丹新宿店には、平日でも多くのお客さまが訪れます。ちょうどこの日は、スキコンの在庫が入荷する日でした。
「スキコンはボトルサイズが3種類ありますが、最も売れているのは330mlの一番大きいボトルです。週末の前には、このビッグボトルだけで1,400本をストックします」(大谷さん)。開店前の短い時間に、スタッフはこれらの製品を手際よく並べ、お客さまを迎える準備を進めます。
「スキコンは海外からのお客様も多いですね。皆さん“健康水330”というメモを持ってカウンターにいらっしゃいます」(大谷さん)
『健康水』とはスキコンの中国名。一説によると中国の有名な女優さんがSNSにアップしたことから、人気に火がついたそう。「“サンバイサン”という言葉を聞くと、はい、スキコンの330mlですね!って(笑)。ほとんどが指名買いですね」(大谷さん)
「ご愛用頂いてるお客さまからは“ニキビが気にならなくなった”“肌が白くなった”“やっぱりコレでないとダメ”というお声を頂きます。“ないと不安だからストックしている”というお客さまもいらっしゃいます」と、大谷さん。
最近では、ひげ剃り後の鎮静に使っている『スキコン男子』も少なくないそうです。
「スキコンって、ボトルがおしゃれなわけではありません。でもやっぱり絶対的な信頼感がある。だから年齢も肌タイプも問わず、どんな方にも自信を持ってオススメできる製品です」(大谷さん)