「ネコリップ」で美容界に旋風を巻き起こす【Legend15 ポール & ジョー ボーテ Chapter1】

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日本が誇る名作化粧品に迫る“Legend of Japanese Beauty“、第15回は、ポール & ジョー ボーテの登場です! 大人気の“ネコリップ”をはじめ、かわいさと機能性を両立したアイテムたち。そして、華麗なモードとのコラボレーションなどポール & ジョーならではの世界をご紹介します。

▲(右から)リップスティック UV SPF25 PA+ 2,500円、同 トリートメント 2,500円、同 スクレドール 3,000円/すべてセット価格・ポール & ジョー ボーテ

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ポール & ジョー ボーテの「ネコリップ」

Chapter1:ネコリップ誕生秘話。懐かしの歴代キャット登場!

キャップを空けた瞬間、思わず「かわいい!」と歓声があがる“ネコリップ”。その誕生の裏側には、デザイナーのソフィーをはじめ、開発や生産スタッフの情熱が秘められていました。Chapter1ではネコリップ誕生秘話と、歴代キャットをお届けします。

デザイナー・ソフィーを歓喜させた史上初ネコ型のリップ

ポール & ジョー ボーテといえば、“ネコモチーフ”が充実するブランド(アットコスメ上でも“ネコ・コスメ”と検索する人が目立ちます!)。その原点ともいえるのが、2010年に誕生したネコ型のリップスティックです。

「もともとネコリップは、シーズンごとに出る限定コレクションのひとつとして企画したものです」と、開発担当の奈良紀恵さん。

ポール & ジョーの創設者であり、デザイナーのソフィー・メシャリーが来日したときのこと。「通常のプレゼンではなく、ちょっとびっくりさせたいと思って。ネコリップの見本をボックスに入れ、打ち合わせの最後に“これ開けてみて”と渡したんです」(奈良さん)

▲ポール & ジョー ボーテ グローバル戦略部 開発担当・奈良紀恵さん

シリアスな打ち合わせが続き、少々お疲れ気味だったソフィー。箱を開けた瞬間パッと笑顔になり、「キャー」と歓声をあげたそう。

「本当に“キャー!!”という感じでした(笑)。ソフィーは猫が大好きなんですね。本来見本は見せるだけのつもりでしたが、“持って帰るわ!”って。ソフィーの熱意もあり、開発が進んでいきました」(奈良さん)

じつは「工場」からの提案だった!?

このネコリップ、そもそものスタートは、意外にも生産ラインである“工場”からの提案でした。

「ポール & ジョーの製品を生産している工場から“立体型のリップが作れるようになった”と連絡があったんです。最初に見本として届いたのは、星形のリップでした」(奈良さん)

そこからポール & ジョーらしい面白いことができないかと、社内で話し合った奈良さん。「ソフィーは猫好きだから、猫なんてどうだろうと」(奈良さん)

▲手にしているのは、自作のネコリップイメージ見本の写真

「まずは市販の口紅を買って、彫刻刀を使って手作りでネコ型に削って……“こういう形の立体を作りたいんです”と工場に伝えたんですね。試行錯誤の末にようやく完成したのが、ソフィーに渡したものでした。あんな風によろこんでもらえて良かったです」(奈良さん)

初代のネコはシュッとした「クール顔」

こうして誕生したのが、2010年発売の初代のネコ型リップスティック。“コレクションスパークルズ”(Chapter4参照)の一品として発売した、限定品です。

「初期段階では、もうちょっと子猫っぽい“かわいらしい顔”でした。デザインをブラッシュアップする段階で、ソフィーから色々リクエストがあったんです」(奈良さん)

▲初代のネコは“クール”な顔立ち!?

「たとえば、ヒゲをシャープにとか、目を吊り気味にとか、白目と黒目のバランス感など、細かな部分までこだわって“クールな表情”に仕上がったと思います」(奈良さん)

▲初代ネコリップ、カラーは3色

たしかに現在のネコリップより初代はクールな顔立ちですが、それにしたってかつてないキュートな形状。さぞ社内でも「これは人気になる!」と期待が高まったのでは?

「社内的にはそこまで“これは売れる!”という感じではありませんでした(笑)。実際は初日に完売したので、お客さまには好評だったのですが、最初から現在のような“ネコフィーバー”があったわけではないんです」(奈良さん)

10周年のお祝いに「おめかしキャット」登場

2012年にネコ型アイテムの2代目として登場したのが、ブラッシャー スティックです。

「このときはコスメデビュー10周年を記念して、“ネコまつり”をしようと。登場したアイテムは、全てネコのモチーフでした」(奈良さん)

その名も「Meow!(ミャオ!)」コレクション。10周年のお祝いということで、ネコちゃんたちもおめかしして登場します!

▲2012年「Meow!」コレクションのブラッシャー スティック

シルクハットと蝶ネクタイをした“正装キャット”、カ、カワイイ…!

「ソフィーと“どんな帽子にするか”“ネクタイや帽子の位置”など、細かな部分まで調整を繰り返しました。初代に比べてちょっぴり顔も変わっているんです。目鼻をやや中央に寄せた、愛らしい表情になっています」(奈良さん)

▲「Meow!」 コレクションのリップには“肉球”の刻印が!

ちなみにこのときリップとして登場したのが写真の製品。よーく見ると、スティック本体にネコが歩いた跡のような“肉球型”の刻印が!

「10周年を記念して、足跡も10個ついているんですよ」と、奈良さん。芸が細かいですね~。「初代が人気だったからこそ叶ったコレクションです。この「Meow!」コレクション以降、“ポール & ジョーといえばネコ”という認識が広まっていきました」(奈良さん)

最後まで顔が消えない、待望の「ネコ太郎リップ」

ところでこのネコリップ、「かわいすぎて使えない!」という人も少なくないのでは?

「お客さまからもそのようなお声が多く、社内でも最後までネコの顔が残るようにしたいという課題がずっとありました」(奈良さん)

そこで奈良さんが考えたのは、“金太郎飴”形式。中央部分にネコの顔をあしらい、使っても使っても、最後までネコのシルエットが消えないリップです。

▲開発初期のラフ。インスピレーションの源は“金太郎飴”

「工場側に相談したら“ぜひ挑戦しましょう”とがんばって下さって。サンプルまでは比較的順調に完成したのですが、問題は量産でした」(奈良さん)

とくに難しかったのが“耳”の部分。小さくて尖っており、生産の過程でつぶれたり気泡が入りやすかったそう。「ここは本当に、工場の方たちが努力して下さった部分です」(奈良さん)

▲2015年発売の金太郎飴型ネコリップ

「一般的に口紅を工場で量産する場合、自動化が進んだおかげで作業する人の数は最小限……一人とか二人のことも多いんですね。このネコリップの生産を見学に行ったら、一つのラインに10名くらいの方がつきっきりで作業して下さっていて。本当に皆さんの力で一つ一つ丁寧に作られているんだなと、感謝の気持ちでいっぱいでした」(奈良さん)

2015年に発売した、金太郎飴ならぬ通称“ネコ太郎リップ”は、ファンにとっても待望の一品。「最後まで使えるのがうれしい」「ネコが消えなくてかわいい」と大人気に。

続く2016年の夏には、“ネコ太郎リップ クリアバージョン”が登場します。

▲2016年夏に誕生した“ネコ太郎型”のクリアリップ

「クリアな層の中心にネコをあしらった、夏らしい限定品です。スティックの透明感が増したぶん、気泡が入ると非常に目立ちやすくて。製造工程には温度のコントロールなど、細心の配慮が必要でした。このときも工場では大勢の方が張りつきで作業してくださったと聞いています」(奈良さん)

▲クリアなスティックの実現には、緻密な温度調整が必要!

2017年「ネコまつり」再び!

「2017年はコスメデビュー15周年にあたり、春に再び“ネコまつり”をすることになりました。コレクションテーマは、“レ プティ ノン ダムール”……日本語だと“カワイイ子猫ちゃん”みたいな、恋人を呼ぶときの愛称のような表現です」(奈良さん)

フェイス&アイカラーに“ネコのしっぽ”をイメージしたパフをつけるなど、遊び心満載のコレクション。リップアイテムとしては“ネコ型のティントリップ”が初めてお目見えします。

「立体型のスティックで、顔立ちも初代にやや近い“クールな表情”に変わりました」(奈良さん)

▲2017年春の限定品は、ネコのしっぽのようなパフつきフェイス&アイカラーが登場

▲2017年春の限定品、左と中央の2本がティントカラー。右はリップカラー

ティントタイプは“ロシアンブルー”と“茶トラのネコ”をイメージした2色。それぞれ、その人の唇の水分などに反応して色が変わります。

「このときはリップそのものの処方で苦労しました。本来ティントリップは唇に塗って初めてピンクに変わってほしいのですが、成分のバランスによっては水分に反応しやすく。スティックの段階で変色しないよう、研究所と何度もやり取りしました」(奈良さん)

2017年ネコリップ待望の定番化! リップトリートメント誕生

2010年のデビュー以来、ずっと“限定品”だったネコリップ。近年は人気のあまり予約が殺到し、発売したとたんに売り切れてしまうことも。ファンからは「定番化して欲しい」というラブコールが寄せられていました。

「お客様の声にお応えする形で、2017年秋“定番アイテム”として発売することになりました。リップカラーにプラスワンしていただけるアイテムです」(奈良さん)



2017年秋は、ポール & ジョーのリップスティックがリニューアルするタイミングでもありました。ここでまたひとつ難題が発生します!

「リップの形状が、これまでのスティックよりもやや細みになり“ネコの顔を表現するスペース”が小さくなってしまったんです」(奈良さん)

限られた面積の中で“ネコの顔”を表現するのは本当に大変だったそう。

「このときもネコの表情が変わっているんですね。細みのスティックに合わせて変更したのと、ソフィー自身が猫を飼いはじめた時期だったので(Chapter2参照)、自身の猫を参考にしたリクエストが増えました」(奈良さん)

ひとくちに“ネコリップ”といっても、時代ごとに顔がこれだけ変わっていたなんて、驚きですね…!

「定番品のリップトリートメントは、やや目鼻を内側に寄せたかわいらしい印象になりました。限られた面積で表現するのは大変でしたが、今回も研究所や工場が一丸となって、実現に向けて頑張ってくれたんです」(奈良さん)

こうして2017年秋、登場したのが“リップスティック トリートメント”と“リップスティック スクレドール”の2品。後者はリップに重ねパールの繊細な輝きを添えるアイテムです。

▲細みのスティックになったおかげで、ネコの表情も変化!

▲左:リップスティック トリートメント 2,500円 右:リップスティック スクレドール 3,000円 ※ともにセット価格

「2品ともに発売前から多くのお問い合わせやご予約をいただきました。ギフト用に選んでくださる方も多く、百貨店のイベントでは行列ができたと聞いています。発売から1年たった今ももっとも人気のアイテムで、売り上げでは必ず上位に位置しています」(奈良さん)

2018年には“リップスティック UV ”が加わって、定番アイテムとしては計3種になったネコリップ。

「デザイナーのソフィーが猫好きだったことからスタートしたネコリップが、こんなに多くの方に愛していただけてしあわせです。“ポール & ジョーといえばネコ”という風に覚えて頂けるのは、本当にうれしいですね」(奈良さん)

Chapter2ではポール & ジョーの創設者、ソフィー・メシャリー自身が、アットコスメのために「ネコ愛」を語り尽くします!



取材・文/宇野ナミコ
撮影/広瀬美佳

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