私たちの身のまわりにはプラスチックがいっぱい。適切に処理されなかったプラスチックごみは海へと流出し、「2050年には海の中の魚の重さよりも、プラスチックごみの重さの方が重くなる*」とも言われています。
こうした環境問題に対し、「化粧品のプラスチックボトルをなくす」という具体的なアクションをとっているのがニュージーランド発のブランド「Ethique(エティーク)」。日本代理店である株式会社ピー・エス・インターナショナルの北川愛巳さんに、サステナビリティをめぐる「Ethique(エティーク)」のストーリーを伺いました。
*エレン・マッカーサー財団と世界経済フォーラムによる報告書, "The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics"(2016)
大学生のキッチンから始まった、すべてがサステナブルな製品
カラフルで四角くて、まるで石けんのように見える「Ethique(エティーク)」のビューティーバー。その正体は、肌にやさしい洗浄成分と美容成分を凝縮させたものです。
「Ethique(エティーク)」のこだわりは、原料からパッケージに至るまで、すべてがサステナブルであること。生分解性であり、人工香料や合成着色料などは一切使われておらず、動物実験も行っていません。また、売り上げの2%を環境保全のために寄付しています。
「『Ethique(エティーク)』は当時、理学部の大学生だったBrianne West(ブリアン・ウエスト)が、自宅のキッチンで始めたブランドです。子どもの頃から動物と自然が大好きで、ビジネスセンスもあったようで、小学生のときには迷子のペット探しのアルバイトを自分でやっていたそうです。“ビューティーバー(Beauty Bar)”を思いついたのも、自然を守りたいという思いからでした」(北川さん)
なぜシャンプーやコンディショナーを固形にしようと思ったのか――それは、プラスチックごみによる海洋汚染を食い止めるため。いま地球では、日本を含む様々な国からプラスチックの破片やマイクロプラスチックが海に流れ込み、それを生き物が飲み込んで、生態系が破壊されつつあるのです。
「じつはシャンプーやコンディショナーの中身のほとんどは水。それなら水を抜いて固形のバーにすれば、プラスチックのボトルに入れなくても済むと考えたわけです。
ブリアンには化学の知識があったので、キッチンでビューティーバーを試作して周囲に配ったところ大好評。支援者も集まってきて、クラウドファンディングによる資金調達に成功し、『Ethique(エティーク)』を立ち上げました」
2012年10月に誕生した「Ethique(エティーク)」は本国ニュージーランドを皮切りに、オーストラリア、アメリカ、台湾などで大ヒット。日本には2019年に上陸し、“包装紙まで完璧なサステナブル製品”としてファンを増やしています。
「ごみを増やす」罪悪感から解放されるうれしさ
「ビューティーバーの主原料は、フェアトレード(公正取引)のサモア産オーガニックココナッツオイルとカカオバター。髪をなめらかにするシリコンの代わりに使われています。森林破壊の原因になるとして問題視されているパーム油は使っていません。パッケージは紙だけ。別売りのバーを収納するコンテナは、生分解性に優れた竹素材でできています」
使うのが楽しくなるカラフルな色合いは、ベジタブルインクによるものだそう。様々な取り組みは確実に社会を変えており、すでに1,200万本以上ものプラスチックボトルの製造・廃棄を防止しているといいます。
「Ethique(エティーク)」を使うと頭皮やバスルームはもちろん、気持ちまで何だかすっきりする。それは「ごみを増やす」という罪悪感から、少しだけ解放されるうれしさなのかもしれません。
使い続けてもらうことが大切だから、ニーズと使い心地にこだわる
バスルームからプラスチックをなくすという理想を掲げ、魅力的な製品を次々と開発している「Ethique(エティーク)」。おすすめのアイテムをいくつか教えてもらいました。
「環境ファースト」というだけではユーザーは広がらないとのことから、ニーズと使い心地にこだわるのが「Ethique(エティーク)」流。夏に必須のリフレッシュ系アイテムにも、おすすめの逸品があるとのこと。
「汗ケアができる『リフレッシュ バー』はアルミニウムフリー。水酸化マグネシウムや酸化亜鉛、竹が余分な皮脂を吸収して雑菌を抑え、においを遠ざけてくれます。脇は乳腺やリンパに近いので、化学的なデオドラント製品を使いたくないという方も多いかと思います。『リフレッシュ バー』はナチュラルな成分でありながら本当に使いやすいので、ぜひ試していただきたいです。私は半分にカットして使っています」
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「Ethique(エティーク)」を使うようになって、美容以外の日常生活のなかでも「これはプラスチックだけど、なくせるんじゃないかな?」という気づきが増えたという北川さん。バスルームをきっかけに、生活のなかで自然と「環境を守る選択」ができる自分になっていく。「そのことがうれしい」と話してくれました。
取材・文:田邉愛理
(アットコスメ編集部)