彼といると落ち着くけれど、昔のようなドキドキは消えてしまった。“なんで一緒にいるんだろう”って不安が突然押し寄せる。それでも、UZUのオレンジライナーを目尻に引けば、急に気持ちも晴れたりして。
私の心も夏の夕立みたいに気まぐれだ。
ふたりの何かを変えなきゃいけない気がして、ジョー マローン ロンドンの新しい香りをつけて出かけた。彼との間を通り抜ける風が、バイオレットとイチジクの香りを運んでくる。
久しぶりに彼が私の手を握り歩き出す。ポピー畑にいるような気分だった。
Jo MALONE LONDON(ジョー マローン ロンドン)
発売日 2019/9/6
セルヴォークのキャロットオレンジのアイシャドウは、アイホール全体に使いたい。茶味があり、重ねてつければ目元はあたたかい印象になる。
この感覚、このぬくもりが、とても恋しくなるのは、どこかに寂しい気持ちがあるからだろうか。
最近ひとりで見る夕日のオレンジは切ないけれど、SUQQUのオレンジブラッシュはそれとは違う。
彩度を落とした温かなローズと肌に溶け込むベージュを合わせ、ほどよい血色を吹き込む、儚くも美しいオレンジだ。
鮮やかなテラコッタを中心としたエクセルのアイシャドウ。ナチュラルに溶け合う絶妙な4色のパレットは、ため息が出るほど愛おしくどこか懐かしくもあった。
そういえば私は、このオレンジのようにいきいきとした彼に惹かれたんだっけ。
揺れる気持ちがあってもいい。それは改めて考えるきっかけなんだ。オレンジのアイテムは、大切な彼の存在を再び気付かせてくれる存在なのかもしれない。
撮影/甲斐寛代・文/ARISA SATO