ジョン ヴァルヴェイトス / クラシック オーデトワレ 口コミ

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Cookieyukiさん
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6購入品

2019/10/17 01:28:18

昭和の理髪店が時代を超えて全速力で肌の上に出張してきたかのようなトップ。ウエストインディアンタマリンドリーフ、マジョールデーツ、地中海産ハーブミックス。ここでひるんではいけない。この後がとろけるように素敵。

あまり日本での知名度が高くないようなので、とりあえずヴァルヴェイトスついて紹介を。

ジョン ヴァルヴェイトスはハードロックにインスピレーションを得たメンズウェアブランド。当然パンクロックのエッセンスも取り入れられている。と言ってもモヒカンかスキンヘッドにチェーンチャラチャラピチピチ革パンツに破れたTシャツではない。とても洗練されて子供の授業参観に着て行って、少し変わってるけど垢抜けてて素敵ねレベルに落ち着いている。アメリカ、特に都市部で大人気。

ヴァルヴェイトスのインスピレーションの素の1つ、CBGBというニューヨークの伝説の老舗ロックライブハウスをご存知だろうか?1973年から2006年まで存在し、パティスミス、ブロンディ、ラモーンズ、テレビジョンなどのアメリカンパンクロックシーンをリードするミュージシャンを輩出した。ロンドンのセックス・ピストルズやクラッシュと重なる時期。タクシーも行きたがらないイーストビレッジの危険な地域にあったその店は、既存のロックに飽き足らず新しい表現を模索していたミュージシャンで賑わっていた。他のライブハウスだと大衆受けする有名な曲しか演奏させてくれなかったので、アンダーグラウンドだったパンクロックバンドには自分達の曲を世に出すチャンスはなかった。CBGBではオリジナル曲のみを演奏することを条件に誰でもプレイできた。その結果、演奏=ミュージシャン、客=ミュージシャンなんてことがよくあったらしい。私も90年代初めに行ったが、演奏=クスリキメてそうなヤバい奴、客=クスリキメてるヤバい奴、外でたむろしてる人=クスリ売ってるヤバい奴の三重奏でスリル満点だった。

そんなCBGBも家主と揉めて立ち退くことになり、銀行が新しいテナントになることにほぼ確定した。新しい店舗をオープンする場所を探していたジョンヴァルヴェイトスはそこに立ったとき、ここは銀行の場所じゃない、俺の場所だと15秒で確信したらしい。彼自身CBGBのファンだったし、パンクをモチーフに服をデザインするほどロックが好きだった。さっそく家主と交渉して店をオープン。これでCBGBのスピリッツが(洋服の中にだけど)引き継がれるとファンは喜んだ。

ところでミドルノート。CBGBファンのヴァルヴェイトスだもの、絶叫爆音パンクロックが肌の上でギター壊して荒れ狂うと思いきや、穏やかな柔らかな香り。クラリセージフラワー、セージリーフ、コリアンダーシード、インディアンアジョワンなどの変わった香りが巧みにブレンドされ個々の香りを探すのは難しい。どんなジャンルの音楽でも、質の高いものは、クラシックでもパンクロックでも、音は全て計算しつくされて一つのパーツが悪目立ちせずお互いを引き立てあって共存している。爆音パンクもいいものは結構繊細緻密に練られている。音楽制作に関わらない人には意外かもしれないけど。香料が織りなす大胆、骨太でいてセンシュアルなハーモニー。優しいけど男性的、いぶし銀の香り。鼻を近づけてずっと嗅ぎ続け、何の香りか突き止めたいような魅力。本物志向で硬派な男性であればこのミドルは20代以上なら誰でも合う。女性なら中性的なパティスミスのような人なら素敵。夏以外の季節、オンでもオフでもいけそう。

ラストは着古した革ジャンを思わせるブラックレザーをヴォーカルに、低音のベースのように支えるアンバー、イーグルウッド、バルサム、バニラ。トップは10分で消えるし、ミドルも2.3時間しか持たない。でもラストノートはミドルノートが消えた後5.6時間持続した。根性あるじゃん、パンクス。ジョンヴァルヴェイトスは香水製作にも自ら加わっていたらしい。これ、絶対自分用。要するに自分でデザインした革ジャンにぴったり合う香りを作りたかったのね。

時は過ぎパンクもロックのバリエーションとして生き残った。今でもパンクロックを続けるパティスミス、ラモーンズみたいな人たちもいる。ライブハウスを満員にできる実力はあるけどそれだけじゃ生活できないから普段は堅い仕事してるパンクスも多い。音楽的にはアナーキーだけど性格がアナーキーってわけじゃないので。大人しそうなカソリック系の学校の先生が週末行ったライブハウスでありえない格好してパンクロックバンドのヴォーカルとして吠えてたなんてことも。そんなパンクスたちにジョンが捧げた香水。

パンクロックよ、永遠に。

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