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ディオールの代表作ジャドール。
1999年に登場して以来、世の女性を、そして男性を魅了し続ける香りだ。
映画でも香水でも、代表作から派生した2作目・3作目は、オリジナルよりも劣っている作品がほとんどだ。ところが、2016年に発売されたジャドール オー ルミエールはむしろオリジナルよりも完成度の高い、良い意味で期待を裏切ったような素晴らしい香りに仕上げられている。
改めて、ジャドールの良さとは何だろうと考えてみる。
ジャドールは、存在感のあるホワイトフローラルにサンダルウッドを組み合わせた女性らしい香りを骨格に、ウォータリーなグリーンフルーティや、爽やかなシトラスを加えることで、季節やシーンを問わない非常に使いやすい香り。嗜好性が良く、それでいて安っぽくなく、さらにキャラ感も備わった、とてもバランスの良い香りだと感じる。
そしてオー ルミエールは、ジャドールの骨格となっていたホワイトフローラルやグリーンやウッディを要素を残しつつ、そのホワイトフローラルをより軽やかに、そしてシトラスを際立たせることで、よりフレッシュな春夏向けな香りになっている。
トップはシトラス-フローラル。スプレーするとまずレモンのキリッとしたシトラスから、ブラッドオレンジのビター感が増していく。そこに軽めなオレンジフローラルが加わることで、ジャドールらしい雰囲気も感じることができる。
ミドルはフローラル-グリーン。みずみずしいマグノリアやネロリが顔を出すことで、フローラル感が増すものの、プチグレンのようなザラザラとしたグリーンノートも香ることで、全体的には爽やかなフローラルグリーンの香りに。そしてダマスクローズの甘さが女性らしい華を添える。
ベースはウッディ-ムスク。ローズ、グリーンの残香に、ジャドールらしいサンダルウッドと柔らかムスクの香り。
トップからミドルの軽めの香りは1時間くらいで飛んでしまうが、フローラルグリーンの残香とサンダルウッドの組み合わせの淡い香りは4時間近く持続する。
改めて、やはりジャドールよりもオー ルミエールの方が、ジャドールの輝くような美しいボトルのイメージに近い香りだと感じてしまう。
というのも、ジャドールはみずみずしさや嗜好の良さをすっきりしたペアやウォータリーなメロンなどのフルーティが担っているが、時間が経ってくると、このメロン様ウォータリーがモタッとしてきて、せっかくのフローラルの輝きを曇らせてしまい、結果、フローラルの粗さが少々鼻に付く。
一方でオー ルミエールは、フルーティを排除してシトラスやグリーンをより立たせることで、ジャドールの欠点が上手く調整されているため、フローラルの輝きをより楽しむことができる。何より、ビターオレンジからプチグレンネロリ、サンダルウッドの流れが美しい。
特に、高温多湿の日本の夏には、このオー ルミエールの方がジャドールらしいキャラクターが引き立つのではと感じる。
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