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クチコミ
「スキップってこんなに楽しいのに、どうして大人はしないんだろう」と子供の頃本気で思っていた。
スキップできるようになった時は嬉しくて、どこに行くにもスキップしながらだった。当然飽きてしなくなったが、最近スキップしたくなるほど心が弾む香りに出会った。ギャロップ・ドゥ・エルメスだ。
よく熟れたフルーツの美味しそうな香りがフワッと広がる。知っている香りだが何だろう?絶対桃、葡萄、ベリー、柑橘、トロピカルフルーツでないのは分かる。梨かな?リンゴかな?その二つが混ざったような香りで時々秋に嗅ぐ。降参、クレジットを見る。
そうか、クインスか。マルメロとも呼ばれている硬い果物。秋に八百屋さんの前を通りかかるとたまにお目にかかる、匂いはとてもいいけれど食べ方がわからない花梨によく似た黄色い実だ。生では石細胞がジャリジャリ硬く酸っぱすぎて食べられたものではないが、砂糖で煮てコンポートにしたりジャムにすると美味しいらしい。花梨シロップを作った時に部屋中に芳しい香りが充満した。クインスもよく似た匂いがする。クインスの砂糖煮を想像するだけで幸せ。サフランの暖かいエキゾチックなスパイシーさも加わって何とも魅力的なトップに仕上がっている。
30分ほどするとターキッシュローズが立ち上ってくる。生花というよりドライフラワーやローズの香りのベビーパウダーか白粉のような粉っぽさを感じる。メゾンマルジェラのレイジーサンデーモーニングと共通点を感じる少し気怠い香りだ。色で言えばくすんだ淡い色の薔薇かな。薔薇だけでなく金木犀の香りも混ざっている。その黄色い花にふさわしい陽気で華やかな香りだ。春にぴったりだが秋につけてもいいと思えるのはそのためだろう。
同時に柔らかくなめした薄手の革の香り。革の香りは野生的、男性的に傾きがちだが、こんなにエレガントで繊細になるなんて驚く。そういえば昔、イブニング用の肘まであるデリケートな白い革の手袋を持っていた。確かに同じ革でも女性的な匂いがした。もともと革の臭みを消すために香料で香り付けすることが多く、出来上がった製品から革そのものの動物臭い匂いがすることは少ないそうだ。
調香師クリスティーヌ・ナジェル氏が女性的な薔薇と男性的なレザーの対照的な香りをとても上手に組み合わせていることに感心する。ほとんどの場合、この組み合わせはレザーが薔薇を打ち負かす結果になるのに。レディースに区分されているものの男性がつけてもとても魅力的だと思う。
ラストノートはレザーとホワイトムスクのしっとりと落ち着いた香りが基調だが、トップノートとミドルノートの香りもしっかり残っている。体温、気温、湿度などの変化に応じて色々な香りが蘇るのが面白い。こんな風に個々の香料の香りがハッキリと分かる香水もいいなと思う。色々な香料を混ぜることによって何の匂いだか原型が分からないのも魅力的だが。透明感のあるムスクだからフルーティにもフローラルにもよく合う。ムスクといえば石鹸に似ていたりセクシーだったりする場合が多い中、ここまで清麗なのは珍しい。
鎧をモチーフにしたパッケージも可愛い。馬は縁起がいい動物というが、持っているだけで何かいいことが起こりそう。そういえば近所に乗馬出来る公園があったのを思い出した。突然馬に会いに行きたくなってきた。少し暖かくなったら、春になったら馬に乗ってみたいな。さすがに乗っている時にギャロップされると怖いのでパカポコ歩いてくれるだけでいいから。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけて爽やかな春の風を馬の背で味わってみたい。
子馬は遊び好き。気分がいいとスキップはしないものの、パカポコパカポコ早足を始めると馬を飼っている友人が言っていた。私だって子供の頃ご機嫌な子馬みたいにルンルンスキップしたかった。残念、筋肉量が少なくベビーファットが多い超ポッチャリ体型だった私。そのせいで小学一年生のクラスメイト全員がスキップ出来るようになっても私だけ出来なかった。「いつかスキップしてやる。そしてできるようになったら絶対毎日スキップするんだ」と心に誓った。
結局願いが叶ってしまった。強い念というのは怖い。現在私はスキップするのが職務の一部という風変わりな職業に着き、ほぼ毎日スキップする羽目になった。よく考えたら大人になってから31年間スキップしてる。引き寄せの法則は本物。ギャロップ・ドゥ・エルメスをつけるたびに苦笑い。
トップノート: クインス、サフラン
ミドルノート: ターキッシュローズ、オスマンサス
ラストノート: レザー、ホワイトムスク
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