Thierry Mugler(海外) / エンジェル オードパルファム 口コミ

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クチコミ18件中 6件目を表示

Hikari.Sさん
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2022/6/9 00:54:31

 香水を趣味とする身としてよく感じることがあります。それは、日本人に好まれる香りと、海外(とくに欧米)の人たちに好まれる香りは、往々にして異なる場合があるということです(あくまでも私自身の感覚です、おゆるしを……)。日本人に好まれる香りというのは、柑橘系を筆頭に、清純そうなホワイトフローラル、いわゆる「庭系」の瑞々しい香り、緑茶や紅茶のさっぱりした香りや、お風呂上がりを連想させる清潔感のある(動物的ではない)ムスクなどです。Tom FordのNeroli Portofinoが「バス○リンの香り」と言われて日本人にもてはやされるのには、ちゃんとした理由があるのでしょう。100年近く愛されてきた、昔なじみのある香り、だからです。私もフルボトルを所有していますが、とくに摂氏30℃を超える真夏に「香害」という言葉に神経質になり、周りの人の目や鼻を気にするのであれば、この狭く蒸し暑い島国でNeroli Portofinoに勝るものはありません。(お値段のわりに合わず、というのはオフレコですが)拡散力・持続力ともに控えめで、いかにも目立つのをよしとしない「日本人好み」の香りだからです。

 では、こちらの香水、MuglerのAngelはどうでしょう。たとえば、この香りを着て真夏の電車に突撃したとしましょう。周りの見ず知らずの乗客は私を二度見、三度見、いや四度見することでしょう。「ヤバいヤツが乗ってきたぞ……」と思われるかも知れません。Chanelの香水が可愛く見えるレベルです。それくらいこの香りは強烈なインパクトがあります。フルーツ、クッキー、キャラメル、ハチミツ、綿菓子、チョコレートなど、ありとあらゆる甘いものを煮込んだ鍋に、ジャスミンやオーキッド、ローズの花びら、スパイス、パチュリをふんだんに加えて出来たのがこの香りなのです。私自身、最初にこの香りを嗅いだときは「???」というリアクションでした。使われている香料が多いせいか、捉えどころがなく印象が次々に変わるのです。その後、確かに甘い、甘いけれどただ甘いだけではない、奥に「何か」が潜んでいるのを察知したのです。時間が経過するにつれてその正体が分かりました。土っぽい、肥沃な大地を思わせるパチュリの香りが重々しくせり上がって来たのです。ヒッピー文化の象徴。かのマドンナも、自身のアルバム「Like a Prayer」のブックレットにパチュリの香りを染み込ませていたのを思い出します。欧米人にとってはどこかノスタルジーも感じる魅惑的な香りの代表ですが、日本人にとっては墨汁を思わせるようなハードルの高い香りが長時間続きます。ちなみに、服に付くとこのパチュリの香りが洗っても落ちないので要注意です。

 そもそも「エンジェル」という存在自体、西洋由来の霊的・精神的な実体でありかつ日本人には馴染みの薄いものですが、まさにこの香りの特徴を上手く表現していると思います。日本でこの香りをお目にかかることは(私自身から発散される場合を除いては)皆無ですが、クリスマスあたりのニューヨークやパリ、ロンドンの街角にはとても栄えるんだろうなぁ、と勝手に妄想がふくらみます。香り自体は本当に面白くて寝香水にすると癒やされますし、パチュリの重々しさも私好みなのですが、日本においてこの香水が栄えるシチュエーションがなかなか思い浮かばないのも事実(万が一、演劇などで天使役をする機会があれば着てみようかしら)。ただ、唯一無二の元祖・グルマン香水として、香水マニアの皆様にはぜひ一度試していただきたいのです。今からちょうど30年前、1992年に世に送り出されたこの香りは、時代の流行さえも超越したまさに「エンジェル」、空からやって来た神の使いなのです。

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