トム フォード ビューティ / ソーレ ディ ポジターノ オード パルファム スプレィ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2018/6/8 00:17:12

正直、カチンとくる。もうネロリ・ポルトフィーノ・シリーズは出さないでくれと思う。理由は簡単。買ってしまうから。高いのに、値段相応の香りとも思えないのについ揃えたくなるから。「またセレブ御用達のプライベートビーチの香りかよ!クルーザーでしか出入りできない入り江とか、崖の上にそびえたつ豪奢なオーシャンビューの別荘とか、巨大クルーザーで遊んだ思い出か!」なんて、結構な悪態をつくくせに心は持っていかれてる。はっきり言って羨ましい。そんな超リゾートでのんびりくつろいで、「ああ、ティレニア海の太陽がまぶしいね」なんて言ってみたい。くそう。

すみません。のっけから己の心のダークサイド・ネガティヴがフルスロットルで出てしまいました。

さて、気分を変えて(←ほんとは無理)、トム・フォードから2017年にリリースされたネロリ・ポルトフィーノ・シリーズでは一番新しい香り、ソーレ・ディ・ポジターノを分析してみたい。お値段は?どんな香りか?買う価値は?

値段。50mlボトルで2.5万〜3万前後。高い。いつも言ってるけど絶対高い。重ね付け推薦のシリーズのせいか、シングルノート系のシンプルなオーデパルファムが多いのだが、だからこそ高すぎると感じる気分が否めない。なのに、どうしても欲しくなってしまう。それは自分の場合、スケルトンボトルのデザインや美しさにやられているせいだ。

グリーンやブルー系を基調としたネロリ・ポルトフィーノ・シリーズのスケルトンボトルは、数ある香水の中でも本当に美しく、所有欲をそそるボトル第一位に認定したいほど魅力的だ。

ソーレ・ディ・ポジターノのボトルは、美しいエメラルドグリーンのスケルトン。本当に所有欲を満足させる。「ただ持ってるだけでうれしい」という香水ボトルはこれとシャリマーPくらいのもの。ボトルのスプレーノズルは結構噴射量が多めなので、付けるときは半プッシュでもいいくらい。そんなスクェアなクラシック薬瓶ボトルからスプレーすると。

つけた瞬間、柔らかいレモン、ベルガモットが心地よく香る。爽快なシトラスシャワー。クラシカルなオーデコロンのトップのようで好ましい。すぐさまグリーンでやや甘いネロリ風の香りがふんわりと広がってくる。ビターオレンジの葉の香り、プチグレンだ。スッキリしているのに、ネロリ独特のふくよかさや甘さも伴っていてとても若々しく柔らかい香り。最近トムフォード様のプライヴェート・ブレンドはスパイシーでウッディな物が多かったので、久しぶりに軽やかな作品だと感じるトップ。

3分後、ネロリポルトフィーノの特徴でもある入浴剤っぽいジャスミン香が少し感じられてくる。それでもネロリポルトフィーノよりは、ずっとプチグレンのグリーンな感じが強く出ていて夏向けなイメージ。さらにシソの葉のちょっとした酸味も相まって、キンとした高音の光のような香りになる。マンダリンの果皮の苦みもあるきらめきのネロリ香で、太陽によく当たった白い花やオレンジを思い浮かべる。

そんなさっぱりしたライトでグリーンなシトラス&フローラルが約2時間ほど、静かにたゆたう。なかなかいいネロリ系コロンだと思わず言いたくなる。コロンより持続時間が少し長いのはうれしいし、古典的なものと違ってローズマリーなどのハーブではなく、グリーンノートからビターオレンジの花っぽい香りにスライドしているところがいい。それでも2時間すると、やや渋みのあるホワイトラムの香りのようなベース香が出てきて、変化もする。

よくプライヴェートブレンドはシングルノートだ、みたいな表記を見かけるけれど、それは物によると思う。似た雰囲気のマンダリーノ・ディ・アマルフィは最初から最後までわりとスパイシーマリンが一本調子であるのに対し、こちらはトップ、ミドル、ラストと柔らかく変化する。トップはシトラスミックス、ミドルは清涼感あるグリーンなプチグレンと高音のジャスミン、そしてラストはわずかに渋みがあるモス系でしめくくる。それは、日中ビーチで過ごし、夕方を迎える頃、少し火照った身体から立ち上る灼けた肌の匂いのようなラスト。

イタリア半島の西、アマルフィ海岸のすぐ近くにある断崖絶壁の街ポジターノ。そこは、色とりどりの家々が目もくらむような崖上に密集するダイナミックな景観の地としても有名だ。夏、ハイシーズン。人々はまばゆい太陽の光を身体いっぱいに浴び、眼下に紺碧の地中海を見わたし、思い思いの優雅なバカンスを過ごすという。

ギラギラ照り付けるポジターノの太陽の下、オレンジの樹の木陰で午後のシエスタをむさぼりたい。そしてやっぱり言いたい。「ああ、ティレニア海の太陽がまぶしいね」

ソーレ・ディ・ポジターノ。それは燦々と降り注ぐ地中海の陽射しとビターオレンジの香り。

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