Maison Margiela Fragrances(メゾン マルジェラ フレグランス) / レプリカ オードトワレ ジャズ クラブ 口コミ

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Cookieyukiさん
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6購入品

2021/4/11 02:02:18

1990年代前半のニューヨークのジャズクラブは本当にこんな匂いがした。今では全席禁煙になってしまって煙草の匂いは薄れたが、当時は禁煙席と喫煙席が分かれていた記憶がある。

歴史のある古いジャズクラブは煙草の煙で薄くモヤがかかったよう。何十年も使い込んだテーブルにはお酒と煙草の匂いが染み込んでいる。普通の煙草を吸っている人もいたけど葉巻を燻らせる人が多かった。そのお供にカクテルやウィスキー、ブランデー、ラムなどの強いお酒をロックで楽しむ。私はカクテルをよく頼んでいた。

その頃アメリカ人の中では結構名の知れた芸術系の学校に通っていた。自分は音楽選考ではないものの隣の校舎ということで音楽科によく遊びにいった。だんだん学生達と仲良くなり、ジャズ選考の学生がセッションによんでくれるように。

ジャズのことはあまりよく分からないが大好き。特にソロで楽器のパーツごとにインプロ(即興)するところが楽しい。その部分でジャズミュージシャンの卵たちはお互いの曲を即興でいじりあってあって遊んでいた。例えば「A列車で行こう」のソロの部分で、客席にいる友達の作曲した曲のサビをちょっと入れて驚いた顔を見て喜んだり。

恵まれたことに現役のジャズミュージシャンが時々講師として教えに来ていた。夜になると学校のコンサートホールで常任の教授ら(当然ジャズミュージシャン)と熱いセッションを繰り広げるなんてことがよくあった。学生とは桁違いの実力。それに魅せられて私のジャズクラブ通いが始まった。ニューヨーク郊外から電車を乗り継いでマンハッタンまで、劇場でパートタイムで働いて得たお小遣いを握りしめて。

だいたいどこのクラブでも一晩で二、三回セッションがあるが、私は終電の関係で一番早いものにしか行けないことが多かった。古いドアを開け中に入ると使い込んだ木製のテーブルと椅子が見える。まばらに座っているお客さんたちは飲み物とスナックを楽しんでいる。喫煙席では煙草をゆっくり味わう人々。私は煙草は吸えないけれど火をつける前の香りが好き。メゾンマルジェラのジャズクラブはこうした場面をを切り取った香り。

トップはピンクペッパーのスパイシーさが効いた軽やかなネロリ。抑えたレモンのマイルドな酸味が心地よい。仕事帰りのビジネスパーソンがスーツ姿のまま立ち寄っているような上品さのある香りだ。ジャズそのものに知的なイメージがあるせいか、色気と艶はあるものの洗練された印象だ。この辺りの香りはジャズのパーツで言えばピアノかなんて考えるのも楽しい。

やがて花の香りの奥からラム酒の香りが浮き出てくる。パッと意識を持っていかれる鮮やかでいてまろやかな中高音。この辺は多分サックスやギターの音の表現か?サックスやギターの音色って色気があるしね。ナッツに似た香ばしい風味とフローラルさを合わせ持つクラリセージのせいか多少の油分を感じる。

遅い時間になるにつれ普段着の人が増え出す。「ちょっとジャズでも聴きに行こう」なんてお気楽な感じでTシャツGパンにジャケットを引っ掛けただけの人も多数。当然お洒落にキメた人たちも。このあたりになるとみんな結構飲んでいる。アメリカ人は酒が強い人が多いので私が一杯飲むあいだにカクテル三、四杯なんて軽くいっちゃう人も多い。

ラストノートのベチバーの土っぽいウッディさは何十年も使われているであろうテーブルと椅子を思わせる。それらは有名プレイヤーたちの熱い演奏をずっと見守り続けてきた。一つセッションが終わるとミュージシャンたちがテーブルで軽く一杯飲みながら煙草を楽しんでいる光景を見ることもある。このラストの香りは楽器に例えると絶対ベースとドラムだ。

煙草ノートが消える頃にバニラとベンゾインの甘い香りが立ち上ってくる。酒と煙草とジャズの効果でいい雰囲気になっているカップル多数。男性の肩にもたれかかる女性、女性の髪を愛おしげに撫でる男性などはまだ可愛い。アメリカ人は人前でもあり得ないほど遠慮なくイチャイチャする。

ごゆっくりどうぞ。こちらは終電つかまえるんで、と急いで店を出る。

演奏が終わっても高鳴り続ける心を押さえて最終列車に乗り込む。ガラガラのシートに倒れ込む様にして座る。それが私の学生時代の思い出。

そうだ、もう一度ジャズを聴きに行こう。全てが落ち着いたら。昔と変わらぬ光景が私を迎えてくれるだろうか。

トップノート: ピンクペッパー、ネロリ、レモン
ミドルノート: ラム、クラリセージ 、ジャワベチバー
ラストノート: 煙草、バニラ、ベンゾイン

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