MANCERA / WILD PYTHON 口コミ

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Cookieyukiさん
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6購入品

2020/1/25 14:02:45

初めのベルガモットの酸味とチュベローズの濃厚な香りがあまりにも華やかで、意識をそちらにパッと持っていかれる。チュベローズは普通ミドルノート以降で出てくる、花としては重い香りなのに何故かトップから強く主張。ピーチは木の上で完熟し、自らの重みで枝が折れて落下する前に手を出して受け止めたいほど。それは日本のたっぷり果汁を含んだ白桃ではなく、桃缶にする外国のイエローピーチ。ジューシーさよりもねっとりした木目細かい歯触りを感じさせる。

生け花にするためにオスマンサス(金木犀)の花を切り取った時の、茎と葉のグリーン感が混ざった香りも加わる。確かに金木犀だが、どういう訳だか日本に生えているというよりどこか外国で育ったもののような気がして仕方がない。昭和のトイレの芳香剤のニュアンスが全く感じられないからだろうか。日によって金木犀のグリーン感が強く感じられ、その時はどことなく鈴蘭っぽい清楚さがある。

ベルガモットの上品な酸味が抜けるころジャスミンが際立つ。意識を集中させると生茂ったジャスミンとチュベローズの奥底の方で、透明感のあるオレンジフラワーと養分をたっぷり含んで湿った土のようなパチュリの香りが静かに漂う。イランイランは入っていないはずなのに、不思議とそれに似たアコードも強く感じる。トップノートでは色々な香りが入れ替わり立ち替わり現れて賑やか。

ミドルノート以降は熱帯のジャングルの湿った生暖かい空気を感じさせる香り。群生する強い香りの夜だけ咲く花々。地面に落ちて発酵しかけたトロピカルフルーツ。爽やかな要素は全くない湿度100%、体感気温30度、風速0mの世界。飽和状態まで水分を含んだ空気に囲まれて、眼鏡をかけていたら水蒸気で曇りそう。

ルソーの蛇使いの女の世界がここにある。昼間活動していた動物達がねぐらに帰る夕凪の時間。夜行性の小動物や昆虫に授粉の手助けをしてもらうために夜だけひっそりと開く花達。その姿は茂った葉に隠れて見えないが、彼らをおびき寄せるための芳しい匂いだけが周り一帯に広がる。人の体温とほとんど変わらない生温さの中で野生のパイソンが小動物を狙って木陰に潜んでいる。蛇は触ってみると普通ヒヤッとしているものだが、ここではそんな皮の冷たさは感じない。熱帯の蛇だからだろうか。

ラストはバニラ。アイスクリーム、ケーキ、プリンなどに入っているミルク感とお菓子感があるバニラではなく、包丁の先で鞘からしごき出したばかりの粒を指で潰した時の甘い香り。言ってみれば何の飾り気もない素っ裸のバニラ。服を着ないでニコニコとクチャっとした顔で笑う赤ちゃんみたいにあどけなくて愛くるしい。

そこにほんの少しだけ加えられたムスクは意外にも透明感があり、ワイルドパイソンを軽やかに洗練されたものにしている。さらに時間が経ちバニラが消えるころムスクだけが残る。そのムスクの香りが何とも心地よい。動物系の香りというより日本のマスクメロンから瓜っぽさを取って花の香りを僅かに加えたようなデリケートさがある。

とても個性的で一度嗅いだら忘れられない香り。チュベローズを筆頭とする夜だけ咲く花々、金木犀、ベルガモット、ピーチのフルーティさ、鞘から出したばかりのバニラの甘さをひたすら追求した香水。グルマンではない甘い香りを探している人にお勧め。特にチュベローズ好きはハマりそう。真夏を除いた季節の夜向き。かなり出力が高いので少量をつけた方がいい。ルカトゥリン氏がジバンシイのアマリージュの出力について自書の中でボロクソに書いているが、それに近いパワーがあるので要注意。

ルソーの蛇使いの女の妖艶な笛の音が辺りに響きだす夕暮れ。熱帯のジャングルの夜の闇の中、果物と花とバニラの甘く狂おしい香りがじわりじわりと日焼けした肌に食い込んでくる。まるでワイルドパイソンに締め付けられたように。

トップノート: インディアンチュベローズ、オスマンサス、ピーチ、ベルガモット

ミドルノート: ジャスミン、オレンジフラワー、パチュリ

ラストノート: ホワイトムスク、バニラポッド

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