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クチコミ
今年も限定シャリマーの季節が来た。昨年のシャリマーは、香り豊かな天然バニラチンキ入りの「シャリマー ミレジム ヴァニラプラニフォリア」だったが、今年の主役はトンカビーンアブソリュートを使用した「ミレジム トンカ」。なんでも、「塩キャラメルとチョコのようなファセットを持つトンカビーン」だそうだ。とても美味しそう、気になるではないか。
おなじみのシャリマー専用ボトル、ラベルは黒色のコウモリ型で少しレトロな趣き。色は昨年のミレジムヴァニラより濃い茶色(ただし着色)。トップはやっぱりシャリマーなのでベルガモット、ほんの少しスパイシーな香りも効いている。そして最近ゲランでよく使われるツンとしたビターアーモンドの香り。以前はロムイデアルで見かけるくらいだったが、最近ではラールエラマティエールでもちらほら見かける。昨年のミレジムヴァニラはすっきりキレイめレモンが目立つトップだったからちょっと意外、オリジナル寄りの香りでスタート。
トップは数分で消失し、トンカビーンの甘さがグッと前に出てくる。トンカビーンの香りは甘くパウダリー、干草のようなニュアンスがあると言われる。もちろんミレジムトンカからもそんな香りがするが、パウダリーな甘さよりもバターのような油脂を思わせるコクが際立っている。これが今年の売りのトンカビーンアブソリュートの香りか。ファッティな甘さが続き、ローズやジャスミンといったフローラル感は薄い。強いて言うならアイリスのパウダリーさはあるかな、という程度。
ゲランが最近凝ってる特製バニラチンキの香りが出てくればドライダウン。またそれ使ってんのかよ、という気がするくらい使われているバニラチンキだが、ウッディでスモーキーなアクセントが豊かで、多用したくなるのはわかる。トンカビーンとバニラの甘さが肌の上でくるくる交代で回るように香って、ときおりレザーのようなニュアンスもある。持続はだいたい6、7時間ほど。
で、問題は冒頭の「塩キャラメルとチョコ」かどうか。あくまで私見なのだが、
・塩感→あるといえばある
・キャラメル&チョコ→ニュアンス程度
塩感に関して、これはワ作品(ワッサーの作品のこと)の一部で見られる塩気のあるムスクに由来するものと思われる。チョコについては、ミレジムトンカに使われているトンカビーンアブソリュートはファッティなコクがあるタイプの香り、具体的に言うとココアバターのような香りに感じられる。この油脂っぽい香りを「キャラメルとチョコのファセット」と表現しているのだろう。コーヒーやワインが好きな方はご存知だと思うが、香りを表現するのにベリーやジャスミンといった言葉を使う。もちろん、あくまでそういう表現というだけで本当にベリーやジャスミンが香るわけではない。ミレジムトンカの塩キャラメル&チョコの売り文句も類似表現だと思われる。日本語で書かれた記事だけでなく英語の記事にも似たような記述があることから、日本のPRが暴走したわけではなさそうだ。言葉ばかりが独り歩きした結果、事前ハードルが上がってしまい実際に嗅いだら「全然グルマンじゃないやん!」と肩透かしをくらった人も多いのではないだろうか。単純な甘さなら昨年のミレジムヴァニラの方が断然強い。甘さ控えめな分、男性にも使いやすく仕上がっているのではないだろうか。
シャリマーにあるスパイシー&アニマリックな要素は、クラシカルな香りが好きな人にはたまらないだろうが、そうでない人には「いかにも香水っぽくてキツくて苦手」だろう。ならそれらを除いたものを作ればいいかと言えばそうでもない。ライトユーザーにはそれでも「香水臭い」と嫌われ、マニアには「名前が同じだけの駄作作るな」とそっぽを向かれ散々。一昨年のフィルトルドゥパルファン、去年のミレジムヴァニラプラニフォリア、そして今年のミレジムトンカはそういったフランカー作成にあたる問題点に真摯に向き合った香水に思える。オリジナルを踏襲してマニア納得の香りに仕上げつつも、ライトユーザー受けも捨てない。評価も高いようだから、フィルトルから始まった原点回帰路線は成功しているようだ。
来年もまたミレジム◯◯なのだろうか。
個人的にはミレジムアイリスなら嬉しいな。
トップ:ベルガモット、ビターアーモンド
ミドル:ローズアブソリュート、アイリス、ジャスミンサンバック
ベース:トンカビーンアブソリュート、バニラ
調香師は、デルフィーヌ・ジェルクとティエリー・ワッサー。
(parfumoより)
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