エルメス / モンスーンの庭 (UN JARDIN APRES LA MOUSSON) 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2014/5/15 00:30:11

「地中海の庭」「ナイルの庭」ときて、3作目はインドがテーマなのに、なぜ「ガンジスの庭」や「アラビア海の庭」ではないのか?フランス語表記を直訳すると、「モンスーン後の庭」だ。調香師ジャン・クロード・エレナは何を感じ、どんなふうに表現しようとしたのか?その秘密に迫る←勝手に。

エルメスの庭シリーズは、今でこそ4種類全部所有しているが、長らくこの「モンスーンの庭」だけは持っていなかった。なぜかって?それは簡単。数年前、初めてかいだとき、思わずこうつぶやいたからだ。

「うへ!これ『カレー臭』じゃん!!」

肉を切る。野菜を切る。なべに油を入れ、すった生姜やニンニクを入れてそれらを炒める。そこに塩コショウを少々。そのときの香りがトップから鼻を刺激する。それだけじゃない。コリアンダーのじわり感も、カルダモンの苦みも、たぶんシナモンもナツメグもクローブも、名だたるカリー用スパイスが少しずつ入ってる感じ。通常、日本人が「あ、カレーの匂いだ。」と感じるのは、クミンというスパイスによるところが大きいが、これは、「クミンだけ入ってないカレー臭」。そんな印象だった。

ただでさえ加齢臭という言葉に敏感なお年頃なのに、わざわざカレー臭を買う気はない。そんなこんなで購入はしなかった。ちなみに、同じエルメスから出ている名香カレーシュは好きだ。←笑点モードか。

だが、ある日突然、このフレグランスの印象が変わった。

久々にかいだとき、この香りはジンジャーチャイを思わせた。スパイスを入れて牛乳で煮出したように、芳醇でクリーミーだった。そして、またあるときは、バナナとメロンを切ってココナツミルクをかけたフルーツ皿に、まちがってスパイスミックスをかけてしまったような香りにも思えた。「これ、おもしろい香りだな。」そう思うようになった。

トップこそペッパーや唐辛子のドライな辛さがツンと鼻をつくが、すぐさま下からメロンやキュウリ系の、水分をたくわえた野菜っぽい香りが広がってくる印象。瓜系やオゾン系は苦手だという人は多いが、この料理用ハーブで味付けられたような瓜系の香りはとても複雑で特徴的なので、さらに好き嫌いがはっきり分かれるところだろう。

以後は、ジャン・クロード・エレナお得意の「みずみずしさ&透明感」が全体に感じられてくる。やがて、ペッパーやスパイス風メロンの感じが消えてくる頃、一番下からじわーっと顔をのぞかせてくるのが、ベチバーの湿った土っぽさ。低く柔らかい感じで、ラストはほんのりセロリっぽい香りもまじる。

香りの展開としては、トップのスパイシーさが消えてからは、大きく変化はしないように思う。体温高めの自分の肌で、ドライダウンまで大体3〜4時間前後。香りじたいはエスニックレストランの厨房といった雰囲気だが、強さはそれほどでもない。ただ、満員電車やバスなどでは、ちょっと注意が必要な部類だろう。人に「いい香り」と思われる物をお探しなら、おすすめしない。

上を向きたいとき、集中力・洞察力を高めたいとき、たるんだ気持をひきしめたいとき、スポーツジムで体を動かす前に、なんかが似合うように思う。「食」に近い香りなので、食欲が減退しているときにもいいかもしれない。そういう意味では、暑い夏にあえてつけたい人もいるだろう。個人的には、寒くなって人恋しくなってくる秋の夕暮れなんかにつけるのが好きだ。

この香りのテーマとなったインドについて調べると、意外なことがわかった。ジャン・クロード・エレナがこの香りの創作のために向かったのは、南インドのケララ地方というところ。アーユールヴェーダの伝承地、古くからのスパイス貿易の拠点として名高いほか、バックウォーターと呼ばれる美しい水郷地帯をもつ、緑豊かで美しい土地で、ヨーロッパの人々が「人生の中で必ず一度は行っておきたいホットスポット50」にも選ばれている南国の楽園だという。そういう意味では、「貧しく、汚く、牛のふんとハエと物乞いがつきまとう」といった、インドに対してこれまで日本人が抱きやすかったイメージを払拭する、一大観光地としての姿がここにはある。

夏。乾燥した大地に吹き付ける熱風に、かすかにまじる雨の気配。突然のスコール。モンスーンと呼ばれる雨期の到来だ。海を逆さにしたように激しく降り続く雨。灰色のカーテン。そんな中、自然は、ひと色もふた色も濃さを取り戻す。やがて雨期が明ける。照りつける太陽の下、きらきらとあふれる水の輝き。そして、一面によみがえる大自然の匂い。植物、木々、スパイス、フルーツ、花々、土、そして、バックウォーターの水の匂い。命の水が全ての匂いを乾燥という呪縛から解き放ち、類いまれなミックスアロマを奏で始める。その再現。きらめきたつ、モンスーン後の庭。

  • インド・ケララ地方のバックウォーター by doggyhonzawaさん
  • モンスーンの庭 by doggyhonzawaさん
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