ラルチザン パフューム / テ プー アン エテ オードトワレ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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4購入品

2015/9/22 22:05:47

空が高くなり、きれぎれの雲が澄んだ空気を運んでくると、ああ、秋だなあと心が涼やかになる。そして同時に思うのだ。やっぱり夏は終わってしまったんだな。あの、激しくて狂おしい季節は、もうどこか遠くへ行ってしまったんだな。

テ・プー・アン・エテ(ひと夏の紅茶)は、そんな夏の終わりの、ちっぽけな感傷をそっと慰めてくれるような柔らかな香りだ。

この香りの最もすばらしい点は、郷愁をそそるネーミングにあると思っている。「ひと夏の紅茶」という和訳もすばらしい。秘密めいたひと夏の思い出と、その美しさや悲哀、切なさが感じられるいい名前だと思う。ただ、そのネーミングに十分惹かれていながら、あえてこの香りは「紅茶ではない」と言いたい。このフレグランスのメインとなっている香料は、どう考えても緑茶だ。だから、本来は、「ひと夏のお茶(緑茶)」が適当だろう。けれど、けれど、それでは、新発売のペットボトル飲料の名前になってしまう。だから、やむを得ず「紅茶」としたのだろうが、実際の香りは紅茶のスモーキーなテイストとはほど遠い。そうした点もふまえると、本当の名前は「ひと夏のアイスティー」といったところだろう。(←もういいから)

そんないわくありげな(←どこが)テ・プー・アン・エテの香りの印象はというと。

つけたて。やや丸みのあるレモンの香り。背後にグリーンティー風のちょい渋い味が出ていてハーバル。すぐにベルガモットのコクのある酸味も来る。全体にスッキリとした出だし。その後、グリーンティーが渋味を増してきたかと思うと、鼻にすっと抜ける感じがしてややミンティなテイストになる。香りをつけた手首もこころもちヒンヤリ。レモン・ティーと、アール・グレイと、ミンティなグリーン・ティーの3つの雰囲気をふわりふわりとちらつかせる印象。ここまで10分。

ミドル。徐々に、優しげなジャスミンの香りが広がってくる。それをグリーン・ティーの渋味とミントのスッキリ感が下支えしている印象。ここでジャスミン・ティーに変わったか、と一瞬思うけれど、何となく違う。どちらかというと、アイス・グリーンティーを飲んでいるテラスの横で、ジャスミンの小さな花々が風にそよいでいるようなイメージ。ただ、白いジャスミンの花の香りに、もう一つ、色が混じってくる。それは、オスマンサス(金木犀)のオレンジ色。ミドルは、ジャスミン&オスマンサスが出てきて、次第にオスマンサス独特の、甘くフルーティーなテイストが少しずつ強く主張してくるような。

ラストはやや渋め。グリーンティーのスッキリした渋味がベースかと思っていたら、下から、「実はムスクでした」みたいな意外なエンディング。さっきまで、いろんなお茶とフローラルだったのに、急に石鹸テイストが混じってきて、「飲み物だと思っていたのに違ったんだね」と思わざるを得ないような。ここが気になる人は気になるかも。オスマンサスとムスクが入り交じっていくミドルからラストは、さらに「紅茶」というイメージからはかけ離れていく感じがする。

「そう言えば、今年の夏もいろいろあったね」いろんなお茶の風味が感じられる構成は、まるでそんな短い夏の思い出のシーンの一つ一つを表しているようにも感じられる。日中楽しんで汗をかいた体は、やがてたっぷりのシャボンと熱いシャワーで洗い流してのクロージングタイム。だから最後はソーピーなムスクなのかな。そんなふうに感じるのも、もう夏がここにいないせいかも知れない。

清潔感のあるコットンや麻の白いシャツ。何となくだけれど、そんなイメージの香り。ミドル以降は、とりたてて特徴がないとも言えるかも。お茶の香りがメインというわけでもない。似た香りもいくつか思いつく。けれど、女性らしい柔らかさや、ゆったりとした感じ、ひかえめだけど落ち着いた印象を与えるという意味では、オフィスでもOKな香りとして、貴重な1本かと思う。

持続時間はけっこう短めで、自分で1〜3時間。上半身やうなじ、袖口あたりに少しずつプッシュが効果的だと思う。電車や人ごみでも、つけて30分ほどしてからなら、迷惑はかけないかと思う淡さ。

ひと夏の紅茶。それは、短い夏の思い出のシーンを象徴した香り。アイス・レモンティー。アイス・アールグレイ。アイス・グリーンティー。そしてアイス・ジャスミンティー。いろんなことがあったね。そのときどきを彩ったおいしいお茶。

太陽と青空と入道雲に目を細めた、あのむせかえるような蝉の声の季節。そんな夏の残像を探すかのように、緑の庭園を見渡す初秋の午後のティータイム。まどろみに身をまかせて、天高くから降り注ぐ日差しに目を閉じる。運ばれてくるティーポットのカチャリとした音。

さあ、お茶にしよう。今日はどんな味でいただこうか。

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