セルジュ・ルタンス / フェミニテデュボワ (Feminite du bois) 口コミ

アットコスメ > セルジュ・ルタンス > フェミニテデュボワ (Feminite du bois) > 口コミ一覧 > doggyhonzawaさんの口コミ

クチコミ

クチコミ63件中 45件目を表示

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん500人以上のメンバーにお気に入り登録されています認証済

7購入品

2014/1/24 00:42:07

「自分が本当にうっとりとするような香りは、どこを探してもないんじゃないか?」
「たとえ見付けたとしても、それが周りからよいと思われることはないんじゃないか?」
「ならば、自分は何のために狂ったように香りを探し続けているのだろうか?」

二律背反である。二つの相反する推論が、等しい合理性・妥当性をもっている。そしてそれゆえに自己矛盾に陥っている。堂々巡りである。ドグラ・マグラだ。

そんなとき、この「フェミニテ・デュ・ボワ」に出会った。一瞬、息が止まった。

これまで味わったことのない香り。冷たく、清々しく、たおやかで静謐な、とても美しいウッディの香り。

プロデュースは、資生堂で1980年から20年間イメージクリエイターをつとめたセルジュ・ルタンス。調香は、ルタンス自身の右腕とも言うべきパフューマーのクリストファー・シェルドレイクと、ダビドフの「クール・ウォーター」やディオールの「ドルチェ・ヴィータ」などを手がけたピエール・ブールドンによる合作。

「フェミニテ・デュ・ボワ」。その意は「木のフェミニティ」。言いかえれば、「木のもつ女性らしさ」。その名のとおり、女性用フレグランスでは珍しいウッディノート。

初めての出会い。何の前知識もないまま。

トップ、付けたて2分まで。品のいいウッディ香が鼻の奥を刺激する。ウッディがトップでくることに少し驚きつつ、このあと濃くなるんだろうなと警戒。鉛筆っぽさも少なく、樹脂の清涼感も少ない。ややひんやりとしているが、固くて上質な木のイメージ。ローズウッドっぽいかなとも。

2分後。奥から出てくるややスパイシーな風合い。あれ、今頃、針葉樹系の清涼感?ん、ちがうな、これは調味料系スパイスだな。きつくはないものの、空気を押し広げるようなじんわりした重みが少し感じられる。けれど、下の方で先ほどのまろやかなウッド香も同時にしている。

そして10分後  「!!」
驚きの展開。スパイスのデクレッシェンドとともに現れたのは、バイオレット(スミレ)と淡い葡萄のような香り。ほんのり甘く、けれど暗く静かな、冷たいフローラル&フルーティ。このバランス!「目を疑う」という言葉があるが、自分の鼻を疑った。

まろやかで、けれどすっきりしたウッドの香り。その上にそっとベールをかぶせたような、淡いバイオレットフィズの風味にも似た、やや内省的な紫のフローラル。なんていい香り。なんていいバランス。静かで、落ち着いていて、すっきりと透明で、優しく時間がまどろむような、儚く直線的な香り。

それがずっと続く。オードパルファンだけれど、いたずらに濃い香りをこれでもかと自己主張するのではなく、柔らかく長くたゆたう。ほの暗く、涼やかに。

ずっとこの香りに包まれていたい。男であることも、自分の年齢も、顔や体型も、社会的地位や立場も、全くこの香りの前では意味をもたない。気にする必要がない。この美しい香りをいつまでもかいでいたい。この香りにずっと染まっていたい。久々にそう思える香りに出会ったことをはっきりと知った。

自分の印象を確かめるべく調べまくる。香りの構成は、ピラミッド型三段階ではなく、どうやら2段階。ミドルとラストが似ている変調子。どうりで同じ香りがずっと長く続くと感じたわけだと納得。構成は諸説あるようだが、大体次のように感じた。

トップ:アトラスシダーウッド、ジンジャー、クローブ、カルダモン、オレンジブロッサム、
ミドル:アトラスシダーウッド、プラム 、ピーチ、バイオレット、ローズ、ハニー(蜜蝋?)
ラスト:アトラスシダーウッド、ムスク、サンダルウッド、ベンゾイン、ヴァニラ

特筆すべきは、トップからラストまで、ずっとアトラスシダーウッドが優しいウッディを香らせていること。その音階と混じり合うことなく、もう1つの音が、スパイス〜フルーティ・フローラル〜オリエンタルへと変化していくような。つまり、混じり合うことのない上下のハーモニーが、絶妙なバランスで平行線を紡ぎ合っているような印象。

わかった。だから、突き抜けたんだ。

二律背反。「自分の一番いいと思う香りを見つけたい。」「自分の見付けた香りを人にもいいと思われたい。」相反すると思われた2つの欲望は、セルジュ・ルタンスの魔法の前に瞬時に消滅した。2つの思いは常に同次元に同列で存在していい。いわんや、それらが交わる事なき、平行線であったとしても。自分という存在同様、香りもまた「自分の絶対」であり、「相手の相対」という実存なのだから。

答えの1つをフェミニテ・デュ・ボワで見つけた。俺は、この香水に包まれている自分自身をこれまで以上に自己肯定する。たとえ君がこの香りを否定しようとも。

  • 2014-01-24 00:37:56 by doggyhonzawaさん
使用した商品
  • 現品
  • 購入品

doggyhonzawaさんのクチコミをもっとみる

同じおすすめ度のクチコミ

くるくるふーかさん くるくるふーかさん 大好きな香りの一つです!! でも、ごめんなさい。 皆さんみた…続きを読む
ま?い?んさん ま?い?んさん 量り売りで購入。 ウッディ系を買うのは初めてでしたがさすがセ…続きを読む
よしよしよしこさん よしよしよしこさん 大好き過ぎて、ずっと口コミ出来なかったフェミニテ・ドゥ・ボア…続きを読む
ガリュリュさん ガリュリュさん ウッディにこんなに巧く甘さやスパイシーを合わせることができる…続きを読む

セルジュ・ルタンスについて

メーカー関係者の皆様へ

より多くの方に商品やブランドの魅力を伝えるために、情報掲載を希望されるメーカー様はぜひこちらをご覧ください。詳細はこちら

フェミニテデュボワ (Feminite du bois)ページの先頭へ