アニックグタール(海外) / パッション オードパルファム 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2019/1/12 20:05:37

「あなたのすばらしいところはどこですか?」そう尋ねられたらどう答えるだろう?受験、就職試験、さまざまな場面で自己アピールを要求されることは少なくない。そんなときに使いたい言葉がある。それは「情熱」だ。

情熱とはある物事に対して激しく高まる気持ち。熱情。日本では北村透谷がパッションという英語の和訳にこの情熱という言葉をあてている。何かに情熱を傾けている人は本当にすばらしい。一心不乱に物事に立ち向かう凛とした姿勢がそこにはある。「〜が好きです」「〜にハマっています」は弱い。「私は〜に情熱をもって取り組んでいます」そう言える人は強い。そこまで熱中できるものがある人こそ、自分の未来を果敢に切り拓く力をもつ人だからだ。

ピアニストであり、モデルであり、シングルマザーでもあったアニック・グタールという一人の女性。彼女は娘を出産した後、香水を創るすばらしさと出会い、7年間勉強を重ねた末、自身の名を冠した香水ブランドを立ち上げた。アニックは湧き上がる感情をフレグランスとして昇華させる才能が特にすばらしかったと言われている。彼女が創る香りは、幸福な瞬間や秘めた思い、人生の岐路に立ったときの強い感情を表現して生まれたものだという。

そんなアニックが初めて自分のために創ったとされる香水、それがパッション・オードトワレ(1983)だ。ブランドを立ち上げた際の初作品はフォラヴリル(1981)のようだから、調香師イザベル・ドワイヤンとの二人三脚で香りを創っていたアニックが、自身のクレジットで初めて出した作品という意味かもしれない。詳細は不明だ。

アニック・グタールは2018年にブランド名をグタールと変更し、ボトルを変更するなど大胆なリブランディングを行ったことが記憶に新しい。現在は娘のカミーユがイザベルと力を合わせ、亡き母の跡を継いでいる。パッションは日本国内ではすでに販売終了しているものの、本国フランスでは普通に買えるし、ネットでも簡単に入手できる。ニューボトルは50mlで2万円くらいだが、旧ボトルは半額程度となっている。

ではパッション、実際の香りはどうかというと。(←相変わらず前置き長いな)

トップ。すぐにクリーミーなヴェールがふわりと広がる。同時にジャスミン、チュベローズ、わずかなイランイランの陰影が強烈に鼻を刺激する。とても濃厚なホワイトフラワーブーケだ。トップから押し出し感が強い。「私を見て、感じて」と言わんばかりの強い主張。自分のよさを最初から強くアピールするかのような直球のオープニング。

しばらくしても香りがあまり変わらない。この香水にはシトラス系香料がないので、最初からフローラルミックスが強く出てそのまま消えていくタイプだ。白い花々の下からはゴムのようなバナナ香のようなファセットも感じられる。しかもオーバードーズ感たっぷりなヴァニラに包まれているので、押し寄せるようにムンムンした雰囲気だ。ただそんなセンシュアルな香りをスッキリさせている香料も出ている。昔よく箪笥の防虫剤に使用した樟脳、カンファーの冷たく刺すような香りだ。この冷たい清涼感が濃厚なヴァニラ&フローラルにすっきりグリーンな印象も与え、全体にエッジを効かせている。

4〜5時間すると、苦みのあるモス系のドライな香りが表出してきて、最初から続いているヴァニラと相まってドライダウン。本当にヴァニラがずっと香っているEDTだ。とはいえ甘さはない。ラストはシプレなヴァニラだ。ホワイトフラワー+ヴァニラのくどくなりがちな香りをカンファーとモスでキリッと引き締めているような構成。あふれんばかりの昂ぶった気持ちをかろうじて抑えているといった展開で終息。

アニックが情熱をかけて取り組んだ香水づくり。この作品はその最も歓喜の瞬間の感情を表現したのではないかと思うほど強く濃厚だ。こういうファッティーなフローラルは、心が強い状態でないと創れないし使えないだろう。心燃やす相手との出会い、愛娘の成長の喜び、ブランドが軌道にのったこと、そのいずれかがあったのか、どれでもなかったのか?この香りを嗅ぐとき、時を越えてアニック自身の情熱と対話しているように思えて感慨深い。

ザ・ブルーハーツの曲に「情熱の薔薇」という名曲がある。最近CMでも使われているので聞いた方も多いはず。そのサビに次のような歌詞がある。

「情熱の真っ赤な薔薇を胸に咲かせよう 花瓶に水をあげましょう 心のずっと奥の方」

強く真摯な情熱こそ人を動かす原動力だ。それは夢を形にし、ときに不可能を可能にさえする魔法の水。アニックはこの香りでそんなことを伝えているかのようだ。

アニックが創ったパッション、それはいつか大輪の花を咲かせる者に捧ぐ心のエナジーエキスだ。

  • 情熱の薔薇 by doggyhonzawaさん
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