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クチコミ
クリードのシルバーマウンテンウォーターは、違いの分かる男性にこそつけてほしいオードパルファムだ。オンオフ、四季を問わずにつけられる汎用性の高さ、そして何より他とは一線を画す高級感。それは250年以上の歴史をもつブランドの底力とも言うべき矜持。
そんなクリードで特に有名なメンズフレグランスの一つが、このシルバーマウンテンウォーターだ。2015年のブルーベルおすすめフレグランスには、この作品とアバントゥスがランクインしている。事実、ブルーベルが展開するフレグランスコーナーでもこの2つを推されることが多い。男性に香りのプレゼントを考えている女性にも注目度が高い作品だろう。では、その香りはというと。
クリードの剣のようなボトルからシルバーキャップを外してスプレーする。その瞬間広がるのは、ガルバナムの苦み、茶系の渋み。だが、一瞬でその嵐は過ぎ去る。そして、マンダリン、ベルガモット、ラベンダーの香りが訪れるシトラス&アロマティックに変わる。わりとよくあるメンズのフゼア系オープニング。高い山に吹く冷たい風のようにスッキリしていて、わずかに甘さも感じるトップ。
やがてベルガモットのコクがティー系の香りと共に広がってくる。やや湿った感じ。音程は高めで、同じフゼア系の代表であるシャネルのエゴプラに比べるとハーバルさが控えめなので、女性でも使えそうなフゼアという印象。ティーやラベンダーの香りが中心になりつつも、わずかに甘いフローラルも出てくる。乾いたハーブのアロマティックと、丸みのあるクリーミーな花の香りが混じりあって、山の朝もやのようにしっとりとした空気感を演出するミドル。
ラストは意外にもウッディではなくムスキー。温かみのある柔らかな雰囲気のムスクで、高いところでキンとメタリックな輝きを放っている。まるでレモンの酸味を一滴加えたようなミルキーな香り。そんな金属系のムスクで減衰していく。さながら、見上げたまばゆい雪山の奥に、爽快な青空が広がっているようなエアリーな印象だ。どこまでも心が広がっていくようで心地よいラスト。このラストはややアニマリックではあるけれど、少しクールで塩気もあってとてもいい。あまり嗅いだことのないムスク。持続時間はここまで3時間程度。それほど強く長く香る感じではない。賦香率から見ればやや短いかも知れない。
全体的に見ると、角がとれた丸みのある柔らかなフゼアといったフィーリングで、シルバーマウンテンというよりも、「白いパウダースノーの雪景色」。俗に言われる瓜系な香りはややあるが、野菜っぽさはないのでオゾン系といった方が近いかと思う。軽くて透明感を大切にしたような香調だ。背後にわずかにウッディとスパイスも感じられるが、とても控えめでやや冷たさを感じるラストなので、高温多湿な夏のデイタイムでも使える香りだと思う。これは貴重。
ネックは値段の高さだろう。30mlでも定価なら24000円前後。ネットで安い所なら17000円程度。さらに、フリマアプリなどでは未使用品が11000円前後で取引されているようだ。この値段の高さは、香料の質にかなりこだわっているせいだと考えられる。ラストに出てくるムスキーな香りも、人工ムスクではなくアンバーグリスから抽出した天然の香りだという人もいる。実際はよく分からない。ただ未だに父から息子へと代々パフューマリーを受け継いでがんばっているので、個人的にはとても応援したいブランドだ。
ただ、試香はした方が良いと思う。クリードが天然香料にこだわっているならば、付ける人やTPOによって香り立ちはかなり異なってくるはずだ。体温高めな自分ではハーブや樹脂の甘さが出てこんもりとした香りになりやすいが、ムエットなどではスパイシーな香りやグリーンな雰囲気が強く出ることもある。誰がつけても同じ香りになるそのへんの安っぽい香りではないからこそ、試香紙だけでなく実際に肌にのせて香りの変化を感じてほしいと思う。
アルプスの銀嶺。その美しく壮大なゲレンデでスキーを楽しんだオリヴィエ・クリードは、山の雲と雪と水に魅せられてこの作品を作ったという。雪解けの清冽な水のほとばしり。輝く太陽に向かって立ちのぼってゆく水蒸気のストリーム、そして湧きあがる雲。そのどこまでも透明で突き抜けるような冷たい自然の香り。
シルバーマウンテンウォーターは、白銀を越えて世界中に広がってゆく、雪と雲のエアーミストの香りだ。
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