カルバン クライン / エタニティ フォーメン オードトワレ 口コミ

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doggyhonzawaさん
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3購入品

2016/11/5 20:48:33

暗いコンサートホールにひときわ大きな音が鳴り響く。壮大なシンフォニーを思わせるジングルとシンクロしながら、光のシャワーが突然ステージに降り注ぐ。激しくローリングする鮮やかな色の照明が、スモーク漂うまばゆいステージ上をあらゆる方向から照射し、重なり、不意に一直線に並ぶ。立ち上がるオーディエンス。アーティストの登場を待ちわびる、怒号とも悲鳴ともつかない叫びの中、ドラムのカウントが始まり、観客の興奮は一気にマックスを迎える。

エタニティ・フォー・メンは、そんな熱狂のライブにも似た、派手で人を酔わせるフレグランスだ。誰がなんと言おうが関係ない。「今・ここ・自分」が一番大事。そう言わんばかりの。

このフレグランスは、世界三大調香師の一人、ソフィア・グロスマンが作った女性用のエタニティ(1988)の大ヒットを受けて、1990年に誕生した。調香は、IFFのトップであるソフィア・グロスマンが、同社のカルロス・ベナイムと共に調香した共作だと思われる。その肝心の香りはというと。

エタニティ―・フォー・メンのトップは、一瞬のオレンジ風シトラスと、激しい洋酒テイストの香りで幕が開く。さながら、シャープな香りが漂うラベンダーの束に、オレンジリキュールを思い切りかけたような、センシュアルな香りだ。

アルコールの匂いがきつく、オレンジのふくよかな感じにラベンダーのじんわりとしたハーバルな香りが混じりあって、とても広く拡散する。どんなに体臭がきつくても、エタニティ・フォー・メンを何回かスプレーするだけで、完璧にマスキングしてしまうのではないかと思うほど強靭で、ゆるぎない香りだ。香料は少ないが、やや頭痛をもよおしやすい系の香りにまとめられているイメージだ。

トップからミドルにかけては、ほとんど香りが変化しない。洋酒系アルコールの香りにハーブがきいたまま、ずっと同じ香りをとどめ続ける。これは、ダビドフのクール・ウォーター(1988)のハートノートから、モワモワするタバコリーフの香りを除いた雰囲気にとても似ていて、やはりクール・ウォーターの影響は大きいと感じずにはいられない。そんなミドルが、大体4〜6時間続く。

ラストは、ほのかに明るくなって終わるが、高音のキンキンした雰囲気で、緊張感の強い香りだ。ラベンダーの残香にゼラニウムの低めのフローラルが混じりながら消えていくような雰囲気。ムスクやサンダルウッド、ベチバーもクレジットされているようだが、時間の経過で変わる感じではない。香料を全部まとめて煮詰めたようなフィーリング。最初から最後まで同じ。

そこで、はたと思い当たる。あ、そうだ。これ、香水じゃなくて強烈な柔軟剤っぽいんだ。

強烈な柔軟剤と言えば、真っ先に思い浮かべるのが、一世を風靡した香り、ダウニーのエイプリルフレッシュ。あまり知られていないが、あの強烈なピンク色のフローラル香を調香した人こそ、このフレグランスを誕生させたソフィア・グロスマンだ。調香師の仕事は、ファイン・フレグランスと呼ばれる香水作りよりもむしろ、化粧品や石鹸等の日用品や食品に香りをつけるフレーバリスト的な仕事が多いのが現実だという。そして、どんな悪臭であっても瞬時にマスキングしてしまうような、ファンクショナル・フレグランスの香りを操れる者ほど調香の腕が確かだと、ゲランのティエリー・ワッサーは言っている。押しが強く、あまり変化しないエタニティ・フォー・メンは、どうやらそんな機能的な香りのタイプに近いかも知れない。

全国どんな小売店でも手軽に手に入る安価なフレグランスのせいか、若い世代にかなり人気のある香りだ。確かにそれらの中にあっては、比較的男の色気を感じる部類だろう。ただ、気を付けたいのは、とても強くて、全体に香料がとげとげしい感じで低音がないので、かいでいて落ち着くタイプの香りではないこと。つけてる人がどんな顔、スタイル、年齢でも、この香りだけが一人歩きするタイプだろうということ。かつて遠くからでも「あ、ダウニーが歩いてきた(笑)」と、人よりも香りが認知されていたときのように。

香りあって人なし。もし香りだけがそんなふうに浮いてしまうなら、寂しい話だ。さながら、誰が出てきてどんな歌を歌おうがおかまいなしに盛り上がる、ただド派手なステージ演出に酔うオーディエンスのように。

光と音が交錯するまばゆいステージ。アーティストの姿は豆粒のように小さくて見えない。それでも巨大なモニタースクリーンを時折見上げながら、何段にも積まれた大仰なスピーカーから増幅された音の渦に身を任せ、人々は極限まで酔いしれる。

君は何に酔うのだろう。ロック?酒?それとも「永遠」という名の香りをまとった君自身?

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