ラルチザン パフューム / パッサージュ ダンフェ オードトワレ 口コミ

「地獄通り」から「天国へのいざない」

これが、ラルチザン・パフュームの「忘れてはいけない初心」ってことなのかな。香りの世界で人々を優雅に豊かに、至上の世界へいざなう。

初めて左手首にのせたとき、ふわりと生で透明感のあるややつんとした花の香りがかすめた。そしたらすぐ驚くべき香りに変化しました。

ん・・・？これ、鉛筆の匂いじゃん。

削ったばかりの、黒鉛と木のまじったような匂い。少し松や杉系の針葉樹な。

で
あ、ちょっとクリーミィ。あ、ちょっとすっぱい。樹脂系だな、もろに。

タンブュクトゥはもっとどっしりとしたクリーミィなウッディだったけど（しかも焦げてる）、
こちらは、軽いウッディ。あーきっと、シダーウッドとか使ってるんだろうなあと。

で、ずーっと。はい、消えてった。おしまい。つまり、なに？少し針葉樹系の強い鉛筆の匂いが作りたかったのか？

で、それから調べました。うーむ、わかるようなわからんような。
「地獄通り」というネーミングは他の方も書いていらっしゃるので割愛。構成成分をラルチザンのサイトで見ても、ピンとくる感じもなく。

香調：オリエンタル ウッディー フローラル

トップノート：ローズ　ジンジャー
ミドルノート：ホワイトリリー　お香　アロエウッド
ラストノート：シダーウッド　サンダルウッド　ベンゾイン　ムスク

大体この中で俺が感じ取れたのは、お香とシダーウッドぐらいじゃん、だめ鼻だな、俺。ただもし、そのお香に、他の方も書いていらっしゃるように「フランキンセンス」「没薬（ミルラ）」が入っているのなら、確かによく考えたもんだと納得いく部分もあり。

ラルチザンの場合、１つ１つのフレグランスに、テーマとなるカラーとアイコンがつけられてるけど、パッサージュダンフェのカラーは赤、そしてアイコンは「流れ星」。これでピンとくるのは、やはり、イエス誕生の際の逸話。

東方の三博士と呼ばれる占星術の博士は、ある日、西方の空に流れたベツレヘムの星によって、イエスキリストの誕生を知らせられ、ベツレヘムへ導かれた。そして、彼らは、イエス・キリストの降誕を見て拝み、乳香、没薬、黄金の３つを贈り物として捧げたという話。

「ベツレヘムの星」をアイコンにしたんだな。しかも上に上がる流れ星にしてる。通常、ベツレヘムの星を描く宗教画は、東から西へ横、または、斜め下に流れるように描いているから、この上へ向かう流れ星はやはり、ラルチザンの「地獄通りから天国へいざないましょう」というスタンスをシンボライズしてるのかなと。そして、赤はキリストの血？神の子として誕生し、人々のために流した彼の命の象徴かな。となると、三博士の持ってきた贈り物のうち、乳香（フランキンセンス）、没薬（ミルラ）を入れていてもおかしくないもんな。

ここらへん、ラルチザンの方に直接聞いてないのでわかりませんが、「お香」にはたぶんこの２つは入ってるかなと思います。そうなると、キリストに捧げたもう１つの宝物、黄金はどこに？そりゃやっぱり、この豪華な金色のキャップでしょう。王冠みたいでかっこいいもの。ってことにしとく。ああ、そうなると、本当に「ベツレヘムの星」と、三博士の贈り物と、ラルチザンのめざすテーマみたいなものが、この１本にこめられたのかなあと感心。（勝手な解釈ですが）

でもね、「深いなあ」と勝手に感動していながら、やっぱり、松林の中で鉛筆の先をなめたらこんな匂いがしそう、などと不埒なことを考えてもいる←地獄行きか？

最後に１つ。このフレグランスには、ホワイトリリー、つまりユリがクレジットされているようだけど、残念ながら自分はフローラルはほとんど感じません。何だよ、と思いながらちょっと調べていたら、ユリ科の植物に和名で「オオアマナ」と呼ばれる白い星形の小さな花を見つけました。なんとその別名は、「スター・オブ・ベツレヘム」、つまり「ベツレヘムの星」。同様の名前は、ニラ科の「ハナニラ」にもつけられているようですが、「オオアマナ」の方が、原産がヨーロッパや中東方面のようですから、こちらが正当でしょう。となると、

フレグランスの中に「ベツレヘムの星」（ユリ科）も入れたよ、という暗示かもしれないですね。実際は香りのよいユリを使ったにしても。

さすがラルチザン。深い。やはり「地獄通り」から「天国へのいざない」だ。

でも自分ユリの匂いも感じないし、この香水、鉛筆の上の部分をガシガシかじって、がっつりしかられたときの苦い味にしか思えなかったですけど。←それって地獄じゃん。

使用した商品

• 現品
• 購入品