セルジュ・ルタンス / Sa Majeste La Rose(バラの女王) 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2018/4/21 23:08:40

さて2017年末、一部の香水マニアを震撼させた「セルジュ・ルタンスのリニューアルに伴う多数の廃盤決定通知」により、自分なんぞは足元にも及ばない高レベルの香水マニアックスな方々が「やめてー!私のアラニュイがなくなる!!」など、阿鼻叫喚の心の叫びとともに在庫ボトルの静かな買い占めに走られたわけですが、そういう意味で、こちらにもそろそろお別れを告げないといけませんね。

セルジュ・ルタンスの「黄バラ」こと、真っ黄色なジュースが売りのサマジェステラ・ローズも、2018年ついに販売終了です。

いやあ、薔薇の女王、売れていたにも関わらず、終了ですか。有名人も愛用していると公言しているのにやめますか。さすがルタンス!どこかの政治家みたいに全くどこ吹く風ですね。ある種、神々しささえ感じます。彼には。

さて、そんな経緯で入手困難香水の仲間入りをめでたく果たしたサマジェステラ・ローズなんですが、自分はいつもサンタル・マジュスキュルと言い間違えてしまいますね。共通文字は「サ・マ・ス」ぐらいなんですけどね。その語順が同じせいなんでしょうか。どうでもいいですね。

ついでに言うと、黄色いジュースと「サマ」という出だしの音から「黄色い太陽が照らすサマー・ローズ」なんてイメージしてしまいがちなんですが、どっこい、そうはルタンスがおろさない。ただ者ではないですからね。闇の使者ですからね。暗闇から突然、ルタンス氏のエキセントリックなお顔がぬっと現れたら、本気でお化け屋敷より怖いですからね。ま、それもさておき。

では、実際の香りを紹介してみましょう。それにしてもなんか変ですね。久々に丁寧語で書いたらまどろっこしいったらありゃしない。以下、常体。

サマジェステラ・ローズ。香りを感じやすくするため、手首にプッシュ。つけた瞬間、柔らかいエーテルの揮発とともに感じられるのは、一瞬のフルーティー。ペア―のような、甘くてみずみずしい香りがすっと駆け抜けていく。クレジットによるとライチのよう。すぐにその下から出てくるのは赤黒い雰囲気の薔薇の香り。じわじわと心の柔らかいところを侵食してくる暗い清涼感のあるローズ香。かなりグリーンノートが効いている。何がというわけでなく不遜。どこがというわけでなく淫猥。重たい暗闇の中からそっと浮かび上がったような真紅の薔薇。まるで暗がりからルタンス氏の顔がぬ〜っと出てきたような(←もうやめろ)

このローズ香は、いくつかのローズエッセンスをブレンドしているよう。共通しているのは、薔薇独特の清涼感あるツンとした香り、スッキリとしていてコクがある点。それでいて硬くて内省的。ふんわりとしたイメージとは真逆。なぜだろうと考えてみる。まず酸味が強い。というか、これはメタリックといっていいほど。キンとした冷徹さを感じる酸味だ。そして、拡散しないストイックな香り立ち。メタリック&ソリッド。ん?メタルギア・ソリッド?

とまあ、これまた一部のゲームファンにも意味のない媚びをうったところで本題に戻ると、そんなミドルが約1時間ほど続く。というのも、ローズの精油だとそれくらいしかもたないからだ。よい香料を使っている感じはある。ただ、どこか黒インクや墨をこぼしたような違和感ある香りも混じっている。通常、天然香料が消失した後は、合成ローズ香料にスライドして香りを引き継がせていくものが多いが、そこはさすがルタンス。フローラルで用いているのは薔薇の天然香料のみのようだ。潔し。

ラストは香ばしいスモーキーなウッディ香、そしてソーピーなムスクがわずかに残る。薔薇は本当にどこかに消え失せてしまったようだ。すっと姿を消したかと思うと、後に残るは漆黒の闇。うーむ、芥川の「羅生門」のようなエンディング。というか、

これは、どこかほのかに血の香りがする薔薇だと勝手に思っている。暗闇の中、鉄の鎧をまとったいかめしい顔の女王が思い浮かぶ。彼女が手にした剣の先からは赤黒い血が滴り落ちている。その暗闇の中、息絶え絶えに倒れているのは先の国王。彼の周りに飛び散った血の花びら。そんな情景を思い浮かべてしまうのは、自分の心の闇が深いせいだろうか。それともルタンスの作品だから?

黄色くて明るい色のジュース。その意図は?夏の爽やかな日中の薔薇?彼がそんな薔薇を作るはずがない。黄色の意図は「警戒色」ではないか。黒と合わせることで最も注意を促す色彩、それが黄色だ。だとすれば、サマジェステラ・ローズの裏メッセージは「警告」かも知れない。

コノ ジョオウ ニハ オイソレト チカヅイテハ ナラナイ

サマジェステラ・ローズは、そんな不穏な薔薇だ。どこか鉄のような匂いの混じった、気高い孤高の薔薇だ。

もう会えない。

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