Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / フレンチ ライム ブロッサム コロン 口コミ

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doggyhonzawaさん
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5購入品

2017/9/24 11:10:14

「自分から見たら円。横にいる人から見たら長方形。これって何の形?」見る角度によって、円にも長方形にも見えてしまうもの、答えは円柱だ。そしてそれは人の心も同じ。げにおそろしきは固定観念。自分から見える側面だけで物事を知った気になって強く主張するのは、とてもこわいことだ。自分から相手のそばに行って、別の側面から一緒に眺めてみて初めて気付くことは多々あるものだ。(←各国首脳、特におぼえとけよ)

そういう意味で反省させられたのが、ジョー・マローンのフレンチライムブロッサム・コロン。直訳すると「フランスのライムの花のコロン」。ライムの花かあ。きっとスッキリした柑橘系で甘い香りがするんだろうなあと勝手に想像をふくらませていた。

だが、これは大間違い。確かにライムの花は存在するが、ジョー・マローンの「ライムブロッサム」とは、ヨーロッパでは当たり前に「リンデンの花」を指すようだ。リンデンは西洋菩提樹。釈迦でおなじみのインドの菩提樹とは異なる。ヨーロッパでは街路樹としてなじみ深く、花や木はハーブティーほかさまざまな用途に利用されている。リンデンは、ドイツ語でシナノキを意味するライムツリーと呼ばれ、英語でもそのままライムツリーとされている。したがってこのコロンは、「フランスのリンデンフラワー」という意味が正解だ。

初めてこのコロンを試したのは、渋谷ヒカリエだった。ヒカリエのジョー・マローンはサンプルが試しやすいので、次から次と黒リボンのついたサンプルボトルを引き上げては片っ端からかいでいた。そのとき、「あ、シトラスとジャスミンと何か濃厚なホワイトフラワー」という印象を覚えたのが、これ。「これがライムの花の香りかー」と間違ったインプリンティングをしてしまったのもその時だ。

フレンチライムブロッサムをひと吹きすると、一瞬、とても重たくて甘い濃厚な花の香りが鼻をくすぐる。ネロリに金木犀を足したようなしっとりとした低いフローラル。すぐにスッキリしたベルガモットが上からヴェールをかぶせ、花の重たさをカバーして爽やかな雰囲気を演出する。このバランスが良くて、たった3分程度ながらとても心地よい。爽やかさと濃厚な花の蜜を4:6ぐらいでブレンドしている雰囲気。

やがて、エキゾティックなフローラルの奥から、グリーンな酸味とシャープな香りが出てくる。それは甘いフローラルと相まって、どこか「梅ガム」のような香気に感じられてくる。ハーブだろうなあと思って調べたらタラゴンのようだが、シソっぽさを感じるミドル。この甘くしっとりとしたフローラル&タラゴンのアロマティックな協調のまま、香りは安定して4〜5時間ほど続く。ラストというかベースは、わずかなムスクとロウみたいなワックス系の香りで収束。ミドルの後半は、入浴剤系のじわりとしたジャスミンの香りが強く感じられる。

全体的に、ライトフローラルのバリエーションの1つとして作られた香りだが、思いのほかリンデンの濃厚さとジャスミンのふくよかさが強く、コンバイニングよりも単品使いがおすすめのコロン。トップにグレープフルーツを上から合わせたり、アールグレイ&キューカンバーあたりをのせてみずみずしさを出すと春夏向きかと。また、秋冬はインテンス系を少し置いて、その上にこちらをレイヤーするのも趣深い。ベースとなる香料がほぼない感じなので、トップを強くするか、ベースに重たい香料をセレクトすると楽しいと思う。レッドローズや他のフローラルとのコンバイニングは、フローラルが強く出過ぎるのであまりおすすめしない。この一品だけで濃厚さは折り紙付きだ。

リンデンの木といえば、有名なのはシューベルトの「菩提樹」。その歌詞は日本にも広く紹介されていて、その中にこんな一節がある。真夜中に旅立つ者に向かって、菩提樹が語りかけるシーンの歌詞。「来(こ)よい、とし侶(とも)、こゝに幸あり。」「来よい」は「今宵」の掛詞だろう。我が菩提樹の下に来れば安息が得られようと優しく誘う言葉だ。だが、ここにも円柱やライムツリーと同じミスリードがある。

研究者の解釈によると、この歌詞は、オーストリアの貴族がナチスドイツから逃れてアメリカへ渡ろうとしたときの戦火の夜を歌ったものであり、「菩提樹が誘う永遠の安息」とは、そこで自害を促すものだとのこと。樹下での自害となれば詳細は推して知るべしだが、「幸」と訳した言葉の真意が、「逃げ切れぬ死ならいっそ菩提樹の枝で」だったとしたら、名曲の聴こえ方も異なるというものだ。

そう考えると、香りも捉え方ひとつと改めて思う。フレンチライムブロッサムもまた、人によって全然感じ方は違うのだろう。もしかしたら、ライムの花でもリンデンの花でもないのかも知れない。あなたに感じられるこの花の香りは。

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