アクア ディ パルマ / イリス ノービレ オーデパルファム 口コミ

アットコスメ > アクア ディ パルマ > イリス ノービレ オーデパルファム > 口コミ一覧 > doggyhonzawaさんの口コミ

クチコミ

クチコミ13件中 1件目を表示

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん500人以上のメンバーにお気に入り登録されています認証済

6購入品

2018/3/17 20:23:18

女性は男性にとって永遠の花。男はその周りを飛び回る移り気な虫。あでやかで、なまめかしい花々の香りは、いつの時代も男を惹きつけてやまない。アクア・ディ・パルマのイリス・ノービレは、そんな美しい花々の香りで人の心をうっとりさせる、つややかなフレグランスだ。

イリス・ノービレ。高貴なイリスの意。確かに、往年の名優オードリー・ヘプバーンやハンフリー・ボガートが惚れ込んだというブランドだけに、パルマイエローの円筒形ボックスやボトルは高級感があってかっこいい。イリス・ノービレにはオード・トワレとオーデ・パルファムがあるけれど、香料も香りも別物。おすすめは、花々の香りがより濃厚に楽しめるこちらのオーデ・パルファム。香りの柔らかさ、持続性ともに申し分ない。

2006年、フランソワーズ・キャロンとフランシス・クルジャンの共作としてリリース。クルジャンが関わっているということで興味深かったこと、最近、アイリス系の香りに傾倒しているところから購入。50mlボトルが実売価格1万円前後。濃度的には手頃な価格だ。

では、イリス・ノービレの香りはどうかというと。

トップ。スプレーすると、オレンジ系のスッキリした香りがかけ抜ける。ベルガモットはその陰で爽やかな苦みを与えている。さすが柑橘の宝庫イタリア系のフレグランス。かぐわしいオープニングだ。ただそこまでならそのへんのオーデコロンと同じ。特徴的なのは、イリス・ノービレのトップには、柑橘の下からアニス調の冷たいスッとした清涼感が出ていること。このアニスの香りがオレンジと同じくらいの出力で出ていて、いいバランスで重なっている。通常、レモンやベルガモットを多くすると、高いところで柑橘がツンと目立ってしまいがちだが、オレンジやマンダリン系の中音域の柑橘にスターアニスの香りを重ねることで、しっとりしたクールなオレンジ香に仕上がっている。これは春から夏向きの涼し気な雰囲気だ。

やがて3分もすると、アニス調のスッと鼻に通る香りが低音で響きつつ、その上に黄色い花粉っぽい香りが漂うようになる。構成を見るにミモザ系の香料が強いようだ。ややクールな黄色いミモザ、そしてその上に暗い紫色の香りが重なってくる。これがアイリスの感じだろう。同時に低音で渋みのような香りも出てくる。「世界香水ガイド」によれば、ミドルでガーデニアが広がってくる云々と書いているが、もっとセンシュアルで暗い。これはチュベローズのムンムンした香りが出ているのだと思う。

してみるとミドルは、アニスのスッとした感じが消失するにつれて、コケティッシュなミモザとアイリスの粉っぽいヴェール、そして低音で濃厚なチュベローズの三重唱といった感じ。そんなミドルが7〜8時間ほど、付けた場所で穏やかに香り続ける。拡散性は低いけれど、ふとした瞬間に空気が攪拌されたとき、愛らしくかつ肉感的に香りが漂う。

このミドルは、一見可愛らしく見える少女の内面に、どこか女性特有の毒をはらんだ色気が時折見え隠れするようなイメージ。これは男性が無意識にそそられる系かもしれない。男って、顔が幼くて可愛らしいのに体つきがグラマラスという相反する理想を女性に求めて、どこかにいないかと探し回っているバカな生き物だが(←二次元で満足してなさい)イリス・ノービレのミドルはそれをフローラルで表現してしまっている。

ラストは、どこまでも蠱惑的なチュベローズの低音の下から、わずかなヴァニラとアンバーの甘さが感じられてフェイドアウト。このラストも美しい。鼻を近づけてゆっくり嗅ぐと、妖しいチュベローズの誘うような香りがいつまでも感じられる。漆黒の闇の中で、月の光に照らされた白い月下香が透明な蜜を滴らせているようなエンディング。そこにイリスのパウダーがかかったような幻想的で美しいラスト。

フローラルウッディムスクというカテゴリのようだが、ムスキーな感じはしないし、何よりあまりイリスの香りがしない。その点は注意が必要だろう。イリス系というよりは、「ややパウダリーなミモザ&チュベローズ」の方が近いかもしれない。

少女のもつ可愛らしさ、あどけなさ、ツンとすました後に微笑むあざとさ。いつの時代も、女性は男性にとって花のようにあでやかな存在だ。そして同時に、女性は幼い頃から、浮気な虫を惹きつけるための秘密の匂いをその花弁の奥にたずさえている。なまめかしく男を惑わせ、離れがたくする誘引の媚薬を。

あでやかは「艶やか」、なまめかしいは「艶めかしい」と記す。一見、陽と陰のように思えるこの2つの言葉も、元を正せば1つの漢字「艶(つや)」だ。

イリス・ノービレは、まさにこの字のごとし。花々の豊かな色が感じられる美しい香りだ。

  • 女性は花、男性は虫 by doggyhonzawaさん
  • イリス・ノービレ by doggyhonzawaさん
使用した商品
  • 現品
  • 購入品

doggyhonzawaさんのクチコミをもっとみる

アクア ディ パルマについて

メーカー関係者の皆様へ

より多くの方に商品やブランドの魅力を伝えるために、情報掲載を希望されるメーカー様はぜひこちらをご覧ください。詳細はこちら

イリス ノービレ オーデパルファムページの先頭へ